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2026.09.01 声明・意見

【パブコメ】永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について意見を提出いたしました。

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、【永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集】にあたり、2026年9月1日付で以下のパブリックコメントを提出いたしました。

●意見募集(パブコメ)

永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集について

【本意見募集提出ページ】https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000140&Mode=0

※現在、上記、【永住許可に関するガイドライン改定案に係る意見募集】と同時に
永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案についても意見募集が行われています。

「永住者」の適正化に係るパブリック・コメントの実施について:https://www.moj.go.jp/isa/11_00112.html

永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案に係る募集提出ページ】https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000141&Mode=0

永住許可に関するガイドライン改定案についてのパブリックコメントを提出される際には、下記の移住連声明もあわせてぜひご参照ください。
永住許可に関するガイドラインの厳格化に強く反対し、撤回を求める声明:https://migrants.jp/news/voice/20260807.html


「永住許可に関するガイドライン」の一部改正に関する意見

 

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

 

 私たちNPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、この社会で暮らし、働くさまざまな移住者の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会を目指す個人、団体による全国ネットワークです。

 

 標記について、以下の意見を述べさせていただきます。

 

総論  安定的な法的地位の獲得は、外国人にとっての「安全・安心」を実現する重要な要素である

<意見>

 20261月に策定された「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(以下「総合的対応策」)の基本的考え方では、「国民・外国人の双方が安全・安心に生活し、共に繁栄する社会」を目指すとあります。その点については、私たちも大いに賛同します。

 今回の「永住許可に関するガイドライン」の改定は、総合的対応策の施策番号36をうけてのものとのことですが、ガイドライン改定案は、外国人の安全・安心を損なうものでしかありません。

 改定案の総論に「永住者」の在留資格は「最も安定した法的地位」であると記されています。外国人にとっての安全・安心を実現する重要な要素の1つは、言うまでもなく安定的な法的地位の獲得であり、永住資格の取得を容易にすることこそが、総合的対応策で示された目指すべき社会ではないでしょうか。

 にもかかわらず、ガイドラインで示された要件や考慮要素は、多くの外国人に対して永住資格取得のハードルを高める、より端的に言えば、永住への道を奪うものでしかありません。

 およそ80年近くにわたり継承されてきた永住制度を、十分な議論もなく、当事者の声に耳を傾けることなく、大幅な不利益変更を強行しようとすることは、まさに「秩序」を乱す行為であり、「官製排外主義」と断罪せざるを得ません。

 このような政府の態度は、市民社会を蝕みつつある排外主義を容認・拡大し、社会を分断するものです。国籍や民族に関係なく、すべての人の尊厳と権利が尊重される豊かな共生社会の実現に向けて、ガイドライン改定案に強く反対します。

 

各論1. 入管法の規定を大幅に超える独立生計要件を求めるのは、法の軽視だ

<意見>

 入管法第22条の22項には「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」とあります。さらに、これまでのガイドラインでは、この独立生計要件について「日常生活において公共の負担にならず、その資産又は技能等から見て将来において安定した生活がみこまれること」と説明されていました。

 しかしながら、今回の改定案では、「世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準」が求められています。例えば、「2025年国民生活基礎調査」では、日本人の平均世帯年収(全世帯)5752千円で、中央値の451万円よりも100万円以上高い数値です。本来ガイドラインは、法律を補うものであるにもかかわらず、法律の規定を大幅に超える要件をガイドラインで示すことは法の軽視ではないでしょうか。

 各種の統計を分析すれば、総じて外国人は日本人よりも不安定な雇用にあり、平均賃金も低いことが明らかです。就職差別や雇用差別も解消されていません。加えて、外国人労働者が現に働き、今後も一層必要とされるであろう介護や建設、製造業や農業といった分野は賃金水準が低いといわれています。このような状況に鑑みれば、日本で懸命に働きこの社会を支えている多くの外国人にとって、改定案で示された独立生計要件を満たすことは極めて困難です。

 さらに、「2025年労働力調査」によれば、共働き世帯が7割強を占め、妻の労働時間が週34時間以下は38.4%です。家族が共に支え合い家計を維持するのが当たり前の社会になっているにもかかわらず、なぜ「家族滞在」などの資格外活動や、「特定活動」による高校卒業後の就職(ガイドライン第52で「就労資格」に該当しないと明記)によってえた収入を、世帯年収から除外して審査するというのでしょうか。外国人に対するイジメとしか思えません。

 かりに高い年収水準を期待するのであれば、それに先立って、外国人が適切に評価され、十分に活躍できる環境を整備するとともに、差別禁止を徹底することに取り組むことが大前提ですが、それもされていません。

 

各論2.独立生計要件に受給年金水準を加えることは、多くの外国人に対して永住への道を閉ざすものだ

 年金保険料の支払いについては、国益要件の1つに挙げられており、過去の遅延までも消極評価とすることが明記されています(202411月改定のガイドラインで追加)。今回の改定は、これに加えて、将来の受給可能見込額を独立生計要件の審査対象とし、「日本人世帯の平均収入を上回る水準で30年間働き、その期間、厚生年金に加入した場合において将来受給可能な年金の見込額」を考慮要素としています。

 けれども、入国時の年齢が高齢であった者、会社の都合で厚生年金に加入していなかった時期がある者、派遣や請負など不安定な就労形態にある者など、受給年金水準を満たさない外国人は多数いるはずです。

 そもそも「日本型年功序列賃金」と表現される賃金体系からもわかる通り、職務遂行能力(技能や技術、知識等)と勤続年数によって賃金は上昇していきます。たとえ申請時に日本人世帯の平均収入を上回る水準であったとしても、技能等や経験が十分でない若い時期の年収が日本人世帯の平均収入を上回るのはほぼ不可能なことです。

 例えば、来年4月に導入される育成就労制度は、就労を通じて経験を積み技能等を修得することで「育成就労→特定技能1号→特定技能2号」とスキルアップするシステムです。入国時の育成就労から日本人世帯の平均収入を上回ることなどありえません。

 高額な収入要件を設定したうえに、さらに高額な受給年金水準を示す今回の改定案は、永住資格取得のハードルを到達不可能なほど高め、懸命に日本で働く多くの外国人の気持ちを踏みにじり、安定的に日本で暮らし続けたいと願う外国人の永住への道を閉ざすものでしかありません。

 

各論3.改定案は、国益レジームを重視し、人権レジームを後退させるものだ

<意見>

 国益要件に関しては、「単に国益に反しないだけでなく、積極的かつ具体的に日本国に利益をもたらす必要」があると明記されています。これは、人間を「有用性」によって序列化する極めて危険な考え方ではないでしょうか。

 加えて、人道的な観点から、日本人などの配偶者や子ども、難民等については、入管法で独立生計要件が免除されているにもかかわらず、現に「公共の負担」となっている場合、又はそのおそれが現実的である場合は消極評価の可能性があると記されています。またしても法の軽視です。

 本年10月から予定されている在留許可手数料の大幅な値上げによって、永住許可は1万円から20万円へと20倍に引き上げられました。生活保護(「公共の負担」)を受給している者は減免対象になりますが、消極評価とされてしまい、永住が許可されない可能性が高まります。生活保護を受給していなければ消極評価とはなりませんが、その場合、120万円、5人家族なら100万円という低所得世帯ではとても払えないような高額な在留許可手数料が求められます。これは、独立生計要件の免除という法の規定を有名無実化させるものであり、独立生計要件を免除した法の委任に反することになります。

 さらに、日本人などの配偶者や子どもに関する、原則10年在留に関する特例に関しては、これまでのガイドラインよりも期間が延長されています。

 また、「刑罰法令違反」として、少年法に基づく保護処分を受けていることを原則として消極評価するとしている点は、少年の教育・矯正を目的とする少年法上の保護処分と刑事罰の違いを軽視し、更生を妨げるおそれがあります。

 すなわち、今回の改定案は、国益レジームを重視し、人権レジームを後退させるものです。このような政府の態度は、日本人も外国人も「共に繁栄する社会」の実現を妨げるものではないでしょうか。

 

各論4.日本語能力を考慮要素に加えるならば、公的な日本語学習環境を整備するのが先だ

<意見>

 改定案では新たに日本語能力要件(日本語教育の参照枠B1相当レベル以上)が考慮要素に加えられました(除外対象者あり)。日本で安定的に生活し働くうえで、公用語である日本語が一定程度できることは本人にとっても望ましいことだと考えます。

 一方で、日本語学習に関しては、中国帰国者、インドシナ難民や第三国定住難民等に対する初期指導を例外とすれば、何十年にもわたり、公的な制度が整備されることなく、市民団体の「善意」や自治体施策に委ねられてきました。そのため、居住地域に日本語教室がなかったり、開講日時が合わなかったりといった事情で、長期間日本で暮らしているにもかかわらず、日本語を学ぶ機会に恵まれなかった外国人が少なからずいます。

 ようやく日本でも、「日本語・生活学習プログラム(仮称)」が2028年度から試行実施されると聞いています。かりに日本語能力を考慮要件に加えるとしても、当該プログラムが本格導入され、その実績が確認されて以降にすべきです。

 加えて、将来、日本語能力を考慮要件に加えることになった場合でも、公的整備が遅れたことで日本語学習機会に恵まれなかった外国人等に対しては、要件の適用を免除するなどの人道的な配慮を求めます。

 

各論5.永住取得のハードルを著しく引き上げる収入要件等を遡求適用すべきではない

<意見>

 改定案では、収入要件と、日本人などの配偶者や子ども及び難民等に対する公共の負担の考慮について、改定日の6カ月前以降の申請にも適用するとあります。収入要件等の改定は永住資格取得のハードルを著しく引き上げるものであり、そもそもこのような改定は断じて同意できません。それに加えて、すでに申請している者にまで収入要件等を適用するというのは、完全な「後だしジャンケン」であり、日本政府に対する信頼を著しく損なうものです。

 かりに永住資格取得のハードルを引き上げる改定をするとしても――もちろん、私たちはハードルの引上げに断固反対です――、経過措置を導入し、適用を延期すべきです。

 

 

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