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2026.08.28 声明・意見

【パブコメ】永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案に係る意見募集について意見を提出いたしました。

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、【永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案に係る意見募集】にあたり、2026年8月28日付で以下のパブリックコメントを提出いたしました。

●意見募集(パブコメ)

永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案に係る意見募集について

【本意見募集提出ページ】https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000141&Mode=0


※現在、上記、【永住者の在留資格の取り消しに関するガイドライン案に係る意見募集】と同時に、
永住許可に関するガイドライン改定案についても意見募集が行われています。

「永住者」の適正化に係るパブリック・コメントの実施について:https://www.moj.go.jp/isa/11_00112.html

【永住許可に関するガイドライン改定案に係る募集提出ページ】https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=315000140&Mode=0

永住許可に関するガイドライン改定案についてのパブリックコメントを提出される際には、下記の移住連声明をぜひご参照ください。
永住許可に関するガイドラインの厳格化に強く反対し、撤回を求める声明:https://migrants.jp/news/voice/20260807.html


「永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」(案)に対する意見

 

2026年828

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

 

 私たち移住連は、この社会で暮らし、働く、移民とその家族の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会をめざす個人、団体による全国のネットワーク組織です。このたび公表され、意見募集がされている「出入国管理及び永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン」の案(以下「取消ガイドライン案」といいます。)に対し、私たちの意見を述べます。

 

 私たちは、2024年に永住者が公租公課を滞納した場合等を対象とする新たな在留資格取消事由を創設する法案(以下「改定法」といいます。)が創設された際には、この法案が現に在留資格「永住者」を持つ外国籍者の在留を不安定にするものであるとして、強く反対しました。法案成立後の2024年6月25日、国連人種差別撤廃委員会が「緊急手続」として発出した書簡において、改定法について、永住者の人権、とりわけ人種差別撤廃条約の下で保護される諸権利に及ぼしうる不均衡な影響を憂慮している、としたうえで、改定法の悪影響から、永住者の保護を確保するための措置、とりわけ改定法の見直し、または廃止のために、日本政府がとった又は検討している措置について同委員会に回答するよう、日本政府に対し要請しましたが、政府は「改定法の規定は適切」と回答し、いかなる措置もとっていません。永住者に対する在留資格取消は、長年にわたって日本で生活してきた外国籍者の生活基盤をゆるがすものであることから、その運用は最大限抑制的であるべきです。

 さらに、改定法の成立後、「経営・管理」の要件変更をはじめ多くの在留資格で理不尽な審査の厳格化が行われていること、在留期間更新・在留資格変更・永住許可の手数料が大幅に引き上げられたこと、取消ガイドライン案と同時にパブリックコメントが開始された「永住許可に関するガイドライン」(案)は、従来のガイドラインの下では永住許可の可能性があった外国籍者の大多数が永住許可の可能性を断たれる内容となっていることを踏まえると、安易に「永住者」の在留資格の取消(他の在留資格への職権変更が行われる場合を含む、以下同じ。)が行われた場合に外国籍者のこうむるダメージは従前にも増して大きくなっています。

 以上を踏まえて、取消ガイドライン案の問題点を述べます。

 

第1 「第1 総論」について

 取消ガイドライン案は、「第1 総論」で、「永住許可の要件を満たさないことから在留状況が良好と評価できない一部の悪質な永住者に永住許可を認め続けることは、国民が不安や不公平感を感じる状況を生じさせ、適切に在留している大多数の永住者を含む外国人への不当な偏見につながるおそれがあり、秩序ある共生社会の実現の観点からも適切」ではないと述べますが、施行予定の法改定で導入される永住者を対象とする在留資格取消事由は、在留カードの不携帯、税金や社会保険料の未納付等、「悪質」とは評価できない軽微な違反や義務の不履行を含むものです。また、国民の「不安や不公平感」や「外国人への不当な偏見」は、外国人への偏見をあおるような言説により支持を得ようとする人々や政党により引き起こされるものであり、根本的な事実の認識の誤りがあります。

 

第2 各取消事由に関する解釈及び取消に関する考え方について

1 入管法上の義務違反について(改定法22条の4第1項第7号)

(1) 入管法上の義務違反のほとんどは、現行法上、退去強制事由や罰則がもうけられており、取消によって抑止すべきものは多くありません。ガイドラインで示す例も、在留カードの不携帯・不提示、在留カードの有効期間の有効期間の更新や紛失等による在留カードの再交付申請の懈怠といった、過失によっても起こりうる比較的軽微な違反や、在留カードの偽変造等の退去強制事由に該当する行為の未遂となっています。

このうち前者について、ガイドラインでは「正当な理由」がある場合には取消の対象としないとしつつ、「正当な理由」の例として「病気や災害その他の事情により、義務を履行できなかった場合」を挙げ、一度の過失による不履行のみをもって取り消すことはしないとしつつも、過失であっても取消事由には該当するとしますが、取消の結果の重大さを考えると、過失による場合は取消をしないとすべきです。

(2) 「退去強制を免れさせる目的で、不法入国者等を隠匿等することの禁止」(第74条の8関係)の未遂については、不法入国者等の配偶者等が家族として同居する場合に不当に不利益を受けることがないよう、配慮をすべきです。

2 「故意に公租公課の支払をしないこと」(改定法22条の4第1項8号)

(1) 取消ガイドライン案は、取消の対象となる「公租公課の支払をしないこと」について、「必ずしも、永住者が自ら納税等の義務者となる場合において当該永住者が支払いをしない場合に限られず、例えば、法人に課税等される場合において、当該永住者がその公租公課の支払義務を認識し、その法人を経営又は実質的に関与する立場にありながらあえて支払いをしないとき」も含まれるとしていますが、個人と法人は別個の法的主体であり、改定法の規定から、取消の対象となる個人以外の未納・滞納が取消事由になることまで読み込むことはできません。また、法人への関与の仕方、法人の意思決定に対する影響力等は事案によって異なることからも、このようなガイドラインの規定は、取消のされる範囲を不当に広げ、またあいまいにするおそれがあり、撤回すべきです。

(2) 「故意に公租公課の支払いをしないこと」の解釈について、取消ガイドライン案は、改定法の施行前に発生した未納・滞納についても対象となるとしていますが、法令の遡及適用は、法的安定性を害し、国民の利益に不測の侵害を及ぼす可能性が高いため、対象者の利益になる場合や権利義務に関係のない場合を除き、原則として行うべきではないとされています。現行法下の取消事由が創設した際には、附則により経過措置が明示されていたのにもかかわらず、改定法で経過措置を示さなかったのは政府のミスであり、そのミスの不利益を当事者に負わせるべきではありません。

(3) 「故意に公租公課の支払をしないこと」の「故意」について、「支払義務があることを認識しているにもかかわらず、あえて支払をしない場合」をいうといい、「故意に」の文言が規定された趣旨は、「単に公租公課の支払をしていない事実があるだけでなく、支払いをしないことが悪質といえる場合に取消事由を限定することにあると説明しています。その上で、「公租公課の支払意思がないことが明白と認められる場合」には、「支払をしないことにつき、やむを得ない事情があり、本人に帰責性が認められない場合」を除き、「故意」に該当するとして、該当すると想定される事例、該当しないと想定される事例を示しています。

 そのうち、故意に該当すると想定される事例のうち、「繰り返しの催告、滞納処分を行ってもなお本人が今後納付する意思を明らかにしない場合(督促や催告を受けているにもかかわらず、何ら支払に関する相談をしないことを繰り返したりした場合)」については、多言語対応を含め、相談に対する実質的なアクセスが可能であることが前提として必要です。また、「分納や猶予等の受けている措置を受けている場合において、当該分納や猶予の約束の期限までに納付をしないことを繰り返したりした事例」については、猶予や分納の内容が当事者の努力により可能な内容で設定されたことが前提として必要であり、また、納付できないことについて本人の責に帰すべきでない事情が発生した場合には、それに対する考慮が必要となる事案も想定できます。

 

3 「特定の刑罰法令違反により拘禁刑に処せられたこと」(入管法第22条の4第1項第9号)

 取消ガイドライン案は、9号に規定される罪で拘禁刑に処せられた場合、刑期の長短や執行猶予の有無を問わず、取消の対象になるとして、「第4 職権変更又は取消しの判断の考え方等について」でも、初犯であっても職権変更とすることが想定されるとします。

 本取消事由の対象となる罪の中には、住居侵入、暴行等、軽微な態様が想定でき、また、私人間のトラブルや日常生活の中のアクシデントの延長として起きうるものもあります。「永住者」の在留資格取消は、たとえ「定住者」に変更されたとしても、当事者の法的地位をきわめて脆弱にします。刑期の長短や内容を問わず、執行猶予の場合も含めて在留資格取消の対象とするのはあまりに機械的です。特に執行猶予は、裁判所が社会内での更生が相当と判断した事案であるところ、在留資格取消により本人の法的地位を脆弱にすることは、更生の妨げとなりかねません。また、外国籍者の場合、司法アクセスや言語の壁から、十分な起訴前弁護があれば略式手続による罰金になりえた事案で、公判請求され、執行猶予つきの拘禁刑となる場合もあります。少なくとも執行猶予つきの拘禁刑の事案で、内容が軽微な場合には、職権変更も含め、処分をしないものとすべきです。

 

第3 通報について

 取消ガイドライン案は、入管法第62条の2に基づく通報について、「通報は義務ではない」「必要かつ可能な範囲内」とはするものの、「通報する者の守秘義務を解除するための法令上の根拠となるものです。この規定に基づく通報は義務ではなく、通報する者が前記第2の各取消事由に関する考え方などに基づいて、任意に通報するかどうかの判断をし、必要かつ可能な範囲内で情報を提供することとなります。」述べます。しかし、入管法第62条に基づき通報義務が規定されている場合ですら、「通報義務を履行すると課せられている行政目的が達成できないような特殊例外的な場合には、通報義務により守られるべき利益と職務の円滑な遂行という公益の比較衡量により違法性が判断される」(平成151117日付法務省管総第1671号)とされており、任意の通報であれば、さらに行政目的が優先されるべきです。

 

第4 本人の定着性や家族関係等の考慮について

(1) 取消ガイドライン案は、第4・3の「その他本制度の運用に当たって考慮されること」として、「取消相当と判断したとしても、特に家族関係や人道上の配慮の必要性がある場合には、取り消すことはせず、職権変更とする場合もあり得ます。」として、取消の原因となる事実の内容から取消相当と判断した場合に、当事者の日本への定着性や家族関係を考慮することなく、何らかの処分はすることを述べています。

 しかし、職権変更であっても当事者に対するダメージは極めて大きいことからすると、定着性や家族関係の配慮の上、取消をしないという場合も想定されるべきです。

(2) また、取消ガイドライン案は、「家族関係や人道上の配慮の必要性がある場合」として、どのような事情が考慮される必要があるか、具体例をまったく示していないため、本人の定着性や家族関係等が十分に考慮されないおそれがあります。

(3) 取消ガイドライン案は、取消がされた場合の家族の在留資格への影響についても述べていません。政府が国連の人種差別撤廃委員会に送った書簡(2024925日)では、「仮に永住者の在留資格が取り消されたとしても、永住者の配偶者等の在留資格をもって在留する配偶者や子については、原則として、永住者の配偶者等または定住者の在留資格で引き続き在留することが可能」であり、「永住者の取消事由に関する規定が、その配偶者や子に適用されることはない」と明記されていましたが、取消ガイドライン案では、まったく触れられていません。取消がされた場合の家族の在留への配慮についても記載すべきです。

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