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2024.05.30 事務局から

5月30日参議院法務委員会で、移住連共同代表理事・鳥井一平が参考人として意見陳述を行いました(原稿全文掲載)

本日5月30日の参議院法務委員会で移住連共同代表理事・鳥井一平が参考人として意見陳述を行いました。下記、原稿全文を掲載いたします。
当日の法務委員会の様子は参議院HPhttps://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php)から録画をご視聴いただけます(鳥井の意見陳述は22:20〜始まります)。




意見陳述(原稿全文)

Ⅰ はじめに

 移住連の共同代表理事を務めています鳥井一平と申します。特定非営利活動法人移住者と連帯する全国ネットワーク、略称、移住連といいます。本日はこのような場で発言をさせていただくことに、冒頭、まず感謝申し上げます。

 実は私は、国会の法務委員会の参考人として意見陳述をさせていただくのは5回目となります。2009年の入管法改正、2014年、2016年技能実習法審議、2018年、そして今回となります。ただ、これまでの4回は衆議院でした。ようやくお呼びいただいたというのが実感です。本法案に関わる私自身の35年ほどの活動の思いと実態をお話しさせていただきたいと思います。

 さて、私たちの移住連は、1980年代からこの日本の労働市場の求めによって急増した移住労働者とその家族、所謂ニューカマーの人々に対する差別、人権侵害や労働問題をとりくんできた全国各地のNGOや労働団体によって1997年につくられた全国ネットワークです。2015年にNPO法人として再スタートしています。現在、全国で110団体と研究者、弁護士、地域の活動家など700人強の個人に会員として参加していただいております。

 また、私自身は個人加盟の労働組合、全統一労働組合の特別中央執行委員でもあり、バブル経済下のニューカマーの外国人労働者との関わりは35年近くになります。

 そして同時に外国人技能実習生権利ネットワークの運営委員をスタート当初から務めており、技能実習生、当時は研修生も含めて、1998年頃から具体的な支援の取り組みを始めています。

 人身売買禁止全国ネットワーク(JNATIP)の共同代表として、政府の人身取引対策に関する関係省庁連絡会議との情報提供、意見交換も行わせていただいております。国交省の委託を受けて建設就労者のヒアリング調査のアドバイスのための同行活動もさせていただいたこともあります。私自身の活動の一端についてはお配りしているNHK作成の動画などもご参照いただければ幸いです。

 また、本法案のスタートも言える当時の古川法務大臣の大臣勉強会にお呼びいただき、実態を直言させていただきました。

  さて、限られた時間ですのでどの程度、実態と思いを伝えられるのか不安ですが、課題ごとに話させていただきます。

 

Ⅱ育成就労制度

 まず育成就労制度についてです。外国人技能実習制度の廃止と言わず、「発展的解消」としているところに本法案の根本的矛盾が象徴されていると言わざるを得ません。

 技能実習制度では如何なる問題が起きていたのでしょうか。配付させていただいています事例集をご参照ください。今日まで、日々支援団体に、息つく暇もなく相談が寄せられています。しかもそれでもこれらは「氷山の一角」と言えるでしょう。

 「時給300円」に象徴される低賃金、不当解雇、強制帰国、セクハラ、人権侵害、賃金未払い、長時間労働、労働災害、暴力・パワハラ、むき出しの強制労働、タコ部屋、劣悪な住環境、「殺傷」事件、妊娠出産問題、そして群がり食いものにする「ブローカー」、「保証金」など前借金制度など。枚挙に暇がありません。「女工哀史」と表現する識者もおられました。

  私自身、1998年から今日までずっと相談、支援活動に直接関わってきました。技能実習生だけでなく、多くの社長さんたちや農家、船主など、技能実習生らを受けいれている使用者の方たちとも様々話し合ってきました。

  外国人技能実習制度の問題を端的に言うと、まず第一に開発途上国への技術移転を名目として外国人労働者受入れを偽装したことです。こんな傲慢な態度はありません。日本国内のもっぱらの事情による労働者受入れを、「開発途上国のため」と騙ったことは強い反省が求められます。開発途上国に対しても非礼な施策です。

  第二に偽装した名目によって奴隷労働構造をつくり出したことです。「失踪防止」として、制度当初には、公然とパスポートを取りあげ、保証金制度(デポジットだが前借金)までつくって、技能実習生、労働者をがんじがらめにしたことです。今日現在まで、「保証金」=前借金構造は、手を変え、品を変え、変わっていません。また、労働者の「辞める権利」、つまり転籍を認めるようにとの私たちの要請に、国会答弁でも、ありもしない「効率的な技術移転のため」と偽装に偽装を塗り固め、「辞める権利」を認めず、強弁されてきました。結果、国連など国際社会からも「奴隷労働」、「人身売買」と厳しく批判され続けてきたわけです。

  そして、三つ目には、以上のことから利権構造をつくり出してきたことです。管理費や教材費、出国手数料など様々名目で、技能実習生から直接に、或いは小零細企業、農家など実習実施者(二次受入れ)から費用徴収をする。またリベートやバックマージン、接待などが横行する構造です。しかも「合法ブローカー」が介在しているのですから巧妙な手口によって問題を複雑化させています。

  ある大手メディアの記者が、この外国人技能実習制度の「悪役」を探し出すべく取材しましたが、迷路にはまり込んでしまうことになってしまいました。つまり「悪役」の存在が問題なのではなく、外国人技能実習制度がつくり出す構造的利権が問題だからです。

  私は先にも述べましたように、この制度下で労働者を受けいれている多くの社長、農家などの使用者たちと交渉も行ってきました。低賃金やセクハラ、暴力、労災などで交渉するわけですが、驚いたことにこの制度下の社長さんたちに「暴力団」の類いの人はほとんどいないのです。みなさん、「普通の方」、もっと言えば地域の子ども会や自治会、町会の面倒を見るような「いい人」たちなのです。その社長さんたちがびっくりするような人権侵害、労働基準破壊を行っているわけです。つまり制度が「人を変えてしまう」、恐ろしい制度となってきているわけです。

  では、育成就労制度はどうなのでしょうか。本国会でも何度か「技能実習制度の『よかったところ』をいかす」旨の政府答弁がありました。しかし、それは大きな見誤りです。

 日本で働き、帰国して活躍している労働者は多くいます。しかしそれは、外国人技能実習制度固有の目的である開発途上国の技術移転を目的に意識して行われた結果ではありません。出稼ぎ労働の結果、価値としての成果です。1980年代から1990年代半ばの非正規滞在30万人の時代にも多くの労働者が日本で働いた成果を出身国に持ち帰っています。日本で働き学んだことを出身国、地域で活かしています。また、在留資格を得て、この日本社会で、労働者として、経営者として、職人として、活躍し、そして、家族をつくり、子弟たちがスポーツ選手として活躍する姿もあります。これが出稼ぎ労働の社会的価値です。

 「技能実習制度の『よかったところ』」などと評価するのは大きな間違いであり、ミスリードです。事実を直視するべきです。

 利権構造ができてしまった故に廃止できなかった外国人技能実習制度の30年を真摯に反省することが新たな「受入れ制度」の始まりでなければなりません。また、制度の構造的問題で被害に遭った技能実習生たちに謝罪することはもちろんですが、「労働力補填」として「騙し」、時には加害者にさせてしまった社長や農家、船主などの使用者にも謝罪するべきだとさえ思います。

 

 ところが、育成就労制度では依然として転籍制限を設け、労働者の基本的権利の「辞める権利」=「選ぶ権利」を制限しています。これではまたもや使用者は見誤りに陥ります。また、政府の責任を曖昧にします。先に述べた「効率的な技術移転」との欺瞞が「効率的な育成」と言葉を換えたに過ぎません。偽装を続けるのでしょうか。「地方から都市部への流出」などと一部から声があるとも言われます。しかし、そのことを以て労働者の基本的権利を制限することは民主主義を放棄することにもなります。また、転籍制限は地域政策や産業政策に対する中央政府の怠慢も導きかねません。カニ漁船主会元会長のお話をしましょう。2020年コロナ禍の中、この船主の方から「どうしても話がしたい」「高齢なので東京に行けないので来てほしい」と言われ、会いに行きました。

 元船主会会長「技能実習生には感謝している。彼らが来なかったらカニ漁は20年前に終わっていた」「でも、今またこのままではカニ漁は終わってしまう。当時50才代、60才代だった船主たちが70、80となってしまった」、「担い手がほしい。技能実習ではダメだ」「余計な管理費も無駄だ。労働者に直接払ってやりたい」「船主が外国人でもいいと思っている」

  また、同じ頃、農業法人の代表者の方からも来てほしいと要請があり伺いました。

  農業法人の代表者「外国から来た労働者を3年間全面的に支援して、3年後には農業で自立していけるようにしていきたい。」「もちろん自立後も共同してやっていく」「近くのある村の村長さんは『外国人でもいい。あと10人移住してきてほしい』といっている。技能実習では見合っていない。」

  これが人びとの声でしょう。2021年1月から半年間、宮崎日日新聞と信濃毎日新聞が県内を記者が丁寧に取材した提言を出しています。どこに行くかもわからず、どんな仕事かもわからず、辞めることができない、そんなことで労働者を縛り付けてきた技能実習制度の轍を、「地方対策」と称して、またもや踏むというのでしょうか。

 

  それでは、受入れはどのようにするのか、ということでしょう。

 まず第一に外国人労働者受入れ制度は、国家的一大事業であるとの決断と実行、政治的リーダーシップが必要です。出入国管理、在留管理だけの問題ではないのです。法務省、入管法だけで決めてはいけません。私は古川法務大臣に直言しました。「法務省だけで無理しないでください」と、つまり政府全体で取り組むべき施策、法制度が求められているのです。しかも待ったなしの逼迫した状況です。費用がかかるので民間活用、などと言うのは政治判断の大きな誤りと言わざるを得ません。

 債務労働のない、国を越えた労働者の移動にはハローワークの機能強化と機能拡大が不可欠です。国としての国際窓口を創設し、送出し国はもちろん、関係国への理解と協力を求めていくことでしょう。国際的労働者移動における先進国としての日本の役割評価にもつながります。国内においては、労働基準法3条に明記されているように、全ての労働者に区別なく、差別なく労働法の全面適用を行うことです。それこそが労働者の活力を引き出していきます。当然のことですが、日本語教育の義務化と国の費用負担は欠かせません。

  この40年近い「ニューカマー」労働者の実像、活力、成果を直視することが政治的リーダーシップに求められています。

 

 次に永住取消問題です。お手元の資料もご参照ください。

 今回の改定法案には、技能実習(育成就労)と特定技能に係る項目以外に、永住許可制度の「適正化」が盛り込まれています。

 有識者会議の議論でも、その最終報告書にもまったく言及されなかったにもかかわらず、「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において、有識者会議の最終報告書を踏まえた政府の対応で「育成就労制度を通じて、永住に繋がる特定技能制度による外国人の受入れ数が増加することが予想されることから、永住許可制度の適正化を行う」ことが明記され、改定法案に永住許可要件の明確化と永住許可取消しが追加されました。

 

 永住者が入管法上の義務を怠ったり、故意に公租公課の支払いをしなかったりした場合、あるいは、一定の罪を犯し拘禁刑に処せられた場合、たとえ執行猶予がついたとしても、在留資格を取り消すというものです。

 例えば、引越しをして14日以内に住居地変更を届けなかった場合も取り消されてしまいます。うっかり在留カードを忘れて外出してしまった場合も取り消されてしまいます。病気や事故で働けなくなり、税金などが払えなくなった場合も取り消されてしまいます。景気変動などにより、急に仕事を失って税金が払えない場合も取り消されてしまいます。リーマンショックの時も、コロナ禍においても、外国人は真っ先に解雇されたことを思い出してください。

 

 入管庁は、軽微な違反は取り消さないと答弁していますが、「軽微」の基準は何でしょうか。誰が「軽微」だと判断するのでしょうか。すべて入管庁の裁量です。また、生活に困窮して公租公課を支払えない場合は「故意」と扱わないと答弁していますが、その線引きが難しいことも既に指摘されており、結局これも入管庁の裁量です。

 1989年の入管法改定の際、当時の股野入管局長は自民党外国人労働者特別委員会で「法務省は不法就労者の実態調査はするがやむにやまれぬ違反者は処罰しない」と語りました。実際、1980年代後半から1990年代、2000年代初めぐらいまで、所謂「不法」就労者は一定程度黙認・放置されてきました。けれども、2003年の半減化計画をきっかけとして、黙認・放置が一転して、徹底的な排除が始まりました。これこそが、入管の「裁量」です。

 

 そもそもなぜ、永住許可取消しが今回の改定法案に入りこんだのでしょうか。

 

 2020年12月の、出入国在留政策懇談会の報告書では、永住許可の取消しに対しては、委員からの懸念も示されたので、「外国人やその関係者等各方面から幅広く意見を聴くとともに,諸外国の永住許可制度の例も参考にするなどして,丁寧な議論を行っていく必要がある。」とされました。その後、関係閣僚会議による「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」の2022年度改訂版(2022年6月)ではじめて「永住者」に係る施策が追加され、「『永住者』の在り方について、その許可要件及び許可後の事情変更に対する対応策等について、諸外国の制度及び許可後の状況調査を参考としつつ見直しについて必要な検討を行っていく」と明記されました。同日決定された「外国人との共生社会の実現に向けたロードマップ」では、2024年度中に検討・結論、2026年度までに必要かつ可能な範囲で実施とあります。諸外国調査の進捗については、私たちは何度か出入国在留管理庁に問い合わせていますが、改定法案が閣議決定された後の2024年4月の時点でも、調査中との回答でした。つまり、関係閣僚会議自らが決定した、総合的対応策における手続きやロードマップの工程を無視し、諸外国の制度の調査も当事者や関係者へのヒアリングもせずに強行しようとしています。なぜでしょうか。住居地の変更届が遅れたり、税金を支払わなかったりなどの軽微な理由で、永住資格を取り消すような国など聞いたことがありません。

 

 衆議院法務委員会における入管庁の説明では、自治体からの声があったと言いますが、その数は、全国1,741自治体のうち、わずか7自治体だそうです。永住者の未納についても、日本で生まれた実子の永住許可申請をした一部の永住者の状況を紹介したのみで、正確なサンプル調査の結果ではありません。つまり立法事実はないのです。

 

 入管法上の義務違反には罰則規定があるので、永住者にのみ在留資格取消しというペナルティを新たに加える合理的理由はありません。税金や社会保険料の滞納、退去強制事由に該当しない軽微な法令違反に対しては、日本人の場合と同様に、法律に従って督促や差押え、行政罰や刑罰といったペナルティを科せばよいだけのことです。外国籍者である永住者にのみ在留資格取消しという過大なペナルティを科すとしたら、これは明らかに公的な外国籍者に対する差別です。国が先頭に立って差別をすることがあってはなりません。現に、この法案が提出されたことで、外国籍者に対する偏見やヘイトスピーチが増えています。

 

 私たち移住連では、今回の永住許可取消しに対する声を集めました。いくつか紹介します。

<声の紹介>(公表用にまとめたもの)

https://migrants.jp/news/voice/eijyuvoices.html

 2023年末現在、およそ341万人の在留外国人のうち永住者は約90万人で、全体の4分の1強を占め、在留資格別では最も多くなっています。在留資格「永住者」は、一定年数日本で暮らし、安定的な生活を送っているなどの厳しい要件を満たすことで付与される在留資格であり、後天的な国籍取得率が極めて低い日本において、旧植民地出身者とその子孫に与えられる在留の資格「特別永住者」を例外とすれば、日本で暮らす外国籍住民にとって最も安定した法的地位です。永住許可取消しは、永住者のみでなく、在留資格「永住者の配偶者等」をもつ配偶者や、今後永住許可を申請しようとするすべての外国籍住民の地位を著しく不安定にします。

 影響をうけるのは外国籍住民ばかりではありません。日本人にとっても、家族がバラバラになってしまうかもしれない、大切な友人や同僚、隣人を失ってしまうかもしれない、という不安を与える制度なのです。

 全く事実検証もなく、「適正化」という言葉が独り歩きし、たちまちにヘイトスピーチが溢れました。結果としてヘイト扇動とも言えるのではないでしょうか。

 なぜこのような永住資格取消制度を、育成就労制度創設を口実として、どさくさ紛れに加える必要があるのでしょうか。

 

 新制度の創設によって永住に繋がる外国人が増えるといいますが、育成就労制度で入国した外国人が、永住許可要件を満たすためには、原則、育成就労3年、特定技能1号5年、特定技能2号5年の計13年を経る必要があります。しかも、育成就労から特定技能1号、特定技能1号から2号への移行は、日本語と技能の試験に合格しなければ認められません。2号に移行するための技能試験は、日本人でもその合格率は3割程度と言われています。現に、2024年2月末時点で、特定技能1号で在留する人は224,467人だったのに対し、2号はわずか48人です。つまり、育成就労制度が創設されても、ただちに永住者が増えるわけではありません。

 

 加えて、2010年代あたりから永住許可審査が「厳格化」しており、永住許可率が低下傾向にあります。例えば、永住許可率をみると、2006年は86.5%ですが、2020年は51.7%に低下しています。居住要件を満たしたからといって、容易に永住許可が得られるわけではないのです。

 

 しかしながら、2024年1月29日に開催された自由民主党外国人労働者等特別委員会で、出入国在留管理庁が配付した資料「永住者の現状と課題」(2024年1月)をみると、永住者が増えることが問題であるかのような記述があります。

 けれども、安定的に日本で暮らす永住者が増えることは、受入れ国である日本にとっても好ましいことではないでしょうか。

 

 政府はいまだ「移民政策ではない」と繰り返しています。けれども、在留期間に制限のない外国人、すなわち一般永住者と特別永住者は、在留外国人の34.1%を占めています。移民につながりのある日本人も増えています。日本は既に「移民社会」なのです。前提事実のない管理強化優先の永住資格取消ではなく、現実を直視したうえで、よりよい社会を作っていくにはどうしたらよいかを、この社会に暮らすすべての人と共に考えていく必要があるのではないでしょうか。

 

Ⅲマイナンバーカード一体化問題

 私たちは常時携帯義務のある在留カードとマイナンバーカードの一体化にも反対です。これもまたどさくさ紛れであり、マインバーカードの運用の問題が顕在化する中で、外国籍者は拒否しにくい状況であり、実質強制的にマイナンバーカードを取得させようとすることは公平性を欠くものです。

 

 最後に申し上げます。 

 今回の改定法案は、共生社会の実現を掲げる関係閣僚会議において対応が決定されたものでしょう。しかし残念ながら、今回の改定法案は、「共生社会」に逆行するものです。「真の共生社会」の実現に向けて、労使対等を阻む技能実習制度も育成就労制度も、永住許可取消しも、マイナンバーカードと在留カードの一体化にも断固反対します。

 ただ、私の反対やNO!は決して否定的な言葉ではなく、私たちが進む次の社会をイメージしています。違いを尊重する社会、国籍や出身地、外貌や性的指向など様々な違いが差別されることなく尊重される社会です。そのことが民主主義を深化させていくひとつの道です。

 SDGs、ビジネスと人権の行動計画、グローバルコンパクトなど、人びとが求める道すじを、今や多くの人が語ります。国会議員もそのことを否定する人は少ないでしょう。今国会において、岸田総理も「誰ひとり取り残さない」と言明しています。この「誰ひとり」には国籍や人種の違いも関係ありません。人権に国境は存在しません。移民が居る事実に真摯に向き合うことが政治に求められています。本法案審議の過程でも、「もっと受けいれたいので、反対する人に対して『適正化』を言うことが必要だ」という答弁がありました。しかし、心配しないでください。今、多くの人びとが求めていることは、違いを尊重し合う共生社会なのです。移民が居るのに、「移民政策をとらない」と強弁することが、移民、外国籍の人びとと、直接向き合う現場の窓口で働く職員に誤解と混乱をもたらしているのです。入管の職員だって、自治体の職員だって、共生社会を求めているのです。政治的リーダーシップを発揮して、この日本社会が、国境に関わりなく移動する人びとで成立している事実を発信し、そのことに真摯に向きあうことを呼びかけ、施策していくことです。

 国会議員のみなさんにはそれができます。真摯に事実をチェックする議論に期待します。人びとが求める違いを尊重する共生社会、誰ひとり取り残されることのない社会を実現できるのは、みなさんです。

 ご静聴、感謝します。


 

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