
2026年1月7日
NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
私たち移住連は、この社会で暮らし、働く、移民とその家族の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会をめざす個人、団体による全国のネットワーク組織です。
2025年12月25日、三重県の一見勝之知事は、定例記者会見で、秘匿性の高い情報の流出を防ぐため、早ければ来年度から県職員採用の国籍要件を復活させる方向で検討を始めると表明しました。
1953年、内閣法制局の「当然の法理」という見解によって、外国人の公務就任権が一方的に否定されました。これに対して、1970年代以降、自治体の主体的判断によって、地方公務員の国籍要件を廃止する動きが出てきました。これは、国籍にかかわらず区域内に住所を有する者を「住民」とする地方自治の精神に則った判断であり、外国人住民の社会参画を促す試みの一つです。国籍要件の廃止は、外国人にとって職業選択の自由の保障でもあります。三重県においても、1999年度に多くの職種で国籍要件を撤廃したことは、高く評価されるものです。国や自治体レベルで、「多文化共生」という言葉が使用される以前から、各地で地道に進められてきた外国人に対する権利の保障です。
三重県は、2006年の総務省通知「地域における多文化共生推進プランについて」をうけ、「三重県多文化共生社会づくり指針」(2016年、2020年)、「三重県多文化共生推進計画」(2024年)を策定しています。そして、多文化共生推進計画では、基本施策の1つとして「多文化共生の意識定着と参画促進」を掲げています。
つまり、職員採用の国籍要件の撤廃は、人権の尊重と多文化共生の視点から強く求められてきたことであり、それを見直すということは、その後退を意味します。知事は「外国人への差別や誹謗中傷は許されない。排外主義はとらない」と語っていますが、国籍要件の復活は、日本人住民と外国人住民が「対等な関係のもとで共に地域社会」を築くと謳っている「三重県多文化共生推進計画」の趣旨に反することであり、明らかな排外主義です。
情報漏洩の危険性は、国籍にかかわらずありうることであり、外国人に対してのみ、それを理由に採用の道を閉ざすということは、日本人住民と外国人住民との間に分断を生み、外国人を脅威と捉える意識を蔓延させるきっかけにもなりかねません。そして、これまで三重県民、三重県政のために働いてきた外国籍職員たちの努力を踏みにじり、かれらの自治体職員としての矜持と誇りを、深く傷つけることにもなります。
私たちは、三重県知事に対して、県職員の国籍要件復活の撤回を強く求めます。そのうえで、知事のリーダーシップのもと、三重県における人権の尊重と多文化共生の取組みが、これまで以上に推進されることを願っています。