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2023.11.20 声明・意見

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議最終報告書案をうけて 改めて「まっとうな」移民政策を求める声明


政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」の最終報告書に向けた議論が大詰めを迎える中、移住連では、外国人技能実習生権利ネットワークと連名で、改めて「まっとうな」移民政策を求める声明を出しました。






 現在、政府の「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が開催されている。今年の5月11日に「技能実習制度の廃止」をうたう中間報告書が出され、10月18日には「技能実習制度の発展的解消」をうたう最終報告書のたたき台が示された。その後、11月15日には、たたき台の3度目の修正案が出され、議論は大詰めを迎えている。

 しかし、技能実習制度廃止後の新制度も、特定技能制度(特に1号)も、私たちが求める、労働者としての尊厳や差別の禁止など国際人権基準にもとづく受入れ制度とはほど遠い。

 私たち日本社会は、「先進国」を自認し、奴隷労働を根絶する民主主義社会であるはずである。海外から人を受け入れる側として、労働者の基本的権利と労使対等原則の担保、並びに人権を保障する責任がある。それにもかかわらず有識者会議が示す案は、様々な理由を付けて、来日する労働者の権利を制約し、企業、農家などの一つの受入れ機関に縛り付けようとする。

 たとえば、有識者会議が示す案では、労働者が自分の意思に基づいて転籍をするためには、一つの受入れ機関で1年を超えて働き、日本語能力試験及び技能試験に合格することが必要とされている。働きながら日本語の勉強をすることはとても大変だろう。母国を離れ、慣れない環境のなか、長時間労働や重労働、さまざまなハラスメントなど劣悪な労働条件や、試験勉強に協力的でない受入れ機関で働く場合には、試験準備の時間や機会が保障されず、かえって転籍することが困難となってしまうだろう。

 転籍を自由に認めると地域から「人材」が流出してしまう、という懸念の声があるという。労働者の賃金を低く抑え、転籍を困難にすれば、受入れ機関は安価な「労働力」を安定的に確保することができる。そこにこそ、技能実習制度の奴隷構造の本質があり、この30年間、労働者の権利を奪い、企業や農家などを騙し、日本社会を欺き、民主主義を危うくさせてきた根本原因がある。受け入れる労働者の権利を制約するのではなく、受入れ機関が、賃金その他の労働条件や職場環境を改善し、また受入れ機関同士が連携し合い、自治体や地域住民とも協力して、地域社会の魅力を高め、発信すれば、その受入れ機関が、その地域社会が「選ばれ」、労働者が生活者として定着していく。そして地方自治体だけに責があるのではなく、中央政府の地域政策、産業政策、雇用政策の責任を求めていくことが何より問われる。単に「労働力」を確保するためだけに労働者の権利を制約する制度を作って、短期的には受入れ機関にとって都合のよい制度になっても、技能実習制度と同じ道をたどることは明らかであり、産業や地域社会の将来設計とはほど遠いものである。

 最大の問題は、来日する労働者を人間としてではなく、単に「労働力」としてしか見ていないことである。技能実習制度も、それに替わる新制度も、特定技能1号も、通算在留期間の上限が定められている。それ故、家族帯同は認められない。労働者の生活の安定が図られず、国際人権基準も守られない制度では、日本社会の民主主義は壊れてしまうだろう。

 今、地域の現場から求められているのは、フィクションに基づく「労働力」ではなく、地域に定着し産業の「担い手」や「後継者」となる人であり、同時に地域や受入れ機関において長きにわたり活躍し、地域社会を共に支えてくれる人こそ望まれているのである。来日し、共に働き、暮らす人を「生活者」、「住民」そして「隣人」として見ず、「労働力」としてしか見ない有識者会議の現在の空虚な案には、到底賛同できない。

 日本社会は、いつまで、この30年間続けてきた「まやかし」や「ごまかし」を続けるのだろうか。改めて私たちは、技能実習制度廃止後の新制度及び特定技能制度において、債務労働が排除され、転職の自由など労働者の基本的権利と労使対等原則を担保した人権保障に適う制度設計を検討するよう、強く要望するものである。

 

2023年11月20日

 

NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク

外国人技能実習生権利ネットワーク


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