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2023.02.16 声明・意見

「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」による移住連のヒアリング結果が公開されました

2023年1月18日に「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」によるヒアリングがあり、その結果が出入国在留管理庁ホームページにて公開されました。
技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(第2回) | 出入国在留管理庁 (moj.go.jp)


移住連のヒアリング結果概要および要旨の資料は、以下のリンクからご参照いただけます。

「ヒアリング結果要旨」001388963.pdf (moj.go.jp) (該当ページ:p.15)
「ヒアリング結果概要」001388971.pdf (moj.go.jp) (該当ページ:pp.122-169)



移住連の意見として、以下の通り取りまとめ、ヒアリングにおいて主張しました。

          新たな外国人労働者受入れにかかわる意見

 2022 年 11 月 22 日、技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議(以下 「有識者会議」)の開催が閣議決定されました。有識者会議の目的は、技能実習法と 18 年改定入管法の附則に基づき、両制度の施行状況を検証し、課題を明らかにし、外国人労働者 (「外国人材」)を適正に受け入れる方策を検討し、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議に対して意見を述べることとなっています。
 しかしながら、外国人労働者を適正に受け入れる方策を検討するならば、両制度に限らず、 専門的・技術的労働者や身分に基づく在留資格をもつ外国人など、日本で働くすべての外国人を含めて、受入れのあり方全体を議論する必要があります。結論ありきの小手先の見直し では、問題解決は不可能です。議論を先送りせず、持続可能な視点から、日本社会のグランドデザインを討議することが求められています。
 私たち移住連は、移民・難民の権利と尊厳の保障を求める立場から、すでに移民社会とな っている日本の現実を踏まえて、以下、新たな外国人労働者受入れにかかわる意見を述べます。

1. 構造的な人権侵害を内包する技能実習制度は、速やかに廃止すべきです。
2. 地域社会や産業が外国人労働者を求めている実態に即して、労働者としての尊厳や差別の禁止など国際人権基準にもとづく新たな外国人受入れ制度を創設すべきです。人権の視点は、企業活動においても極めて重要になっています。なお、その際には、現行制度(技能実習制度及び特定技能制度)で働く労働者が不利益を被ることがないよう、 新制度への移行を支援する施策が不可欠です。
3. 新たな外国人労働者受入れ制度においては、現行の専門的・技術的労働者と同様に、 転職の自由や家族の帯同を認めるとともに、在留期間の更新や在留資格の変更を可能 とし、定住を妨げないものとすべきです。
4. 新たな外国人労働者受入れ制度においては、外国人労働者の債務奴隷化を排除するため、送出し国との間で政府機関同士による公的職業紹介を実施し、ハローワークなどを活用すべきです。なお、すべての職業紹介に関わる事業者は、外国人労働者からいかなる手数料又は経費について、その全部又は一部を直接又は間接に徴収してはならないものとすべきです。
5. 国及び地方自治体は、すべての外国人労働者に対して、その技能向上・人権保障・社会生活の便宜を確保するため、日本語習得及び職業訓練の機会を提供すべきです。 
6. 国及び地方自治体は、すべての外国人労働者に対して、可能な限りその母語を含む理解可能な言語で、労働・社会保障・教育等、日本での生活に必要な情報を提供すべきです。
7. すべての外国人労働者の権利を確実に保障するため、相談対応・問題解決機能等をもつ新たな公的機関を創設すべきです。なお、その際には、当該機関の職員として、外国人(外国ルーツの日本国籍者も含む)を積極的に採用する必要があります。
8. 外国人労働者を含む多様な外国人とともに暮らし、働き、学ぶ、豊かな移民社会の実 現の基盤となる基本法を制定すべきです。
9. 新たな外国人労働者受入れ制度の創設にあたっては、現行制度において在留資格をも たない者に対して、正規化の機会(アムネステイ)を提供すべきです。


鳥井と旗手の資料はこちらのリンクよりご覧ください。

001388971.pdf (moj.go.jp)(該当ページ:pp.128-169)



今回のヒアリング結果要旨は以下の通りです。


                 ヒアリング結果要旨

 
1.制度制度目的と実態を踏まえた技能実習制度の在り方について
- 技能実習制度は、開発途上国への国際貢献を偽装した労働者受入れ制度であることから、同制度を廃止し、適正な外国人労働者の受入れ制度を作るべきである。
- 高額すぎる借金や転籍の制限などにより、著しく支配従属的な労使関係となり、 本来、善良な経営者も変貌してしまう。民主主義社会に相応しい対等な労使関係が築けるようにすべき。

2.転籍の在り方について
- 技能実習では、実習先の変更が認められる事由について技能実習生ばかりでなく、 監理団体等にも十分に周知されていない。また、特定技能においても、転職支援が 受入れ側の都合による契約解除の場合に限定されており、十分なものとはなってい ない。
- 転籍の自由を制度的あるいは実態的に制限するのではなく、地域や産業の魅力を 作り上げていくことにより、地方に人材を定着させる取組が必要なのではないか。

3.管理監督や支援体制の在り方について
- 海外から日本に働きに来るに当たって、送出国側及び受入れ国側の双方にあっせ ん機関が必要となると思うが、その機能を公的な機関が担う仕組みも含めて、構造的な問題の改善をどのように図っていくかという議論をするべきである。
- 監理団体は技能実習制度を健全に運用するための中核的組織である一方、様々な 問題を引き起こす要因ともなっており、監理団体の機能を公的な機関が担うといった、ドラスティックな変更も必要ではないか。 
- 行政が、困っている者全てに出前型で支援を届けるのは、コスト的にも難しい。 本人が声を上げやすくしたり、市民団体や労働組合とタスクフォースのような形で 協力し合うことが重要ではないか。

4.外国人の日本語能力の向上に向けた取組について
- 母語による相談体制は欠かせないが、自らの権利を正確に理解し、権利を主張す るためにも、N4程度、日本語教育の参照枠のA2レベル程度の日本語能力は必要 だと考えている。ただし、日本語能力試験は、読み書きによる測定しかなく、話す ことの測定がない点が大きな問題である。

5.その他
- 技能実習や特定技能1号では、外国人本人が支援を受ける立場であるため、家族 帯同を認めていないと言うが、支援を受ける人にとっては、家族帯同する権利が認 められないという説明は納得できるものではない。

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