Q1
収容されたりしている外国人が、さらに刑事罰を受けるようになるってほんと?
A1
ほんとうです。
反対の声が必要です。
本国に帰れない事情や、日本から離れられない事情があっても、在留資格が得られない外国籍の人がいます。
その人たちは、入管収容施設に入れられたり、あるいは、働くことも認められず、保険もない仮放免の生活を強いられています。
今回、また、そうした状況にある人びとに、さらに刑事罰を科す提案がされています。
Q2
なにを罰するつもりなの?
A2
最近10年間で国外退去の処分となった人のうち、97%は帰国しましたが、残りの3%の人は、帰国を拒否しています。
その数、約2,800人(2019年12月末時点)。政府は、この人たちを送還忌避者(そうかんきひしゃ)と呼んで、罰する法律をつくろうとしています。
Q3
国外退去になるのは、「犯罪をおかした」からじゃないの?
A3
違います。
国外退去になる外国人=犯罪者ではありません。国外退去(退去強制)は、在留資格を失ったひとの一部が受ける処分です。これは基本的に、交通違反に科される処分などと同じ「行政処分」です。
また、そもそも国外退去の処分は、移民の人たちの日本での暮らしの実態を考慮せずに行われることが少なくありません。国際人権規約で保障されている家族が同じ場所で暮らす権利(家族結合権)の違反にもなり得ます。
Q4
国外退去(退去強制)が出されているのに、なぜ自分の国に帰らないのですか?
A4
帰らないというより、帰れない理由があるからです。
実例をすこし紹介します。
(1)本国に帰ると差別や迫害により命の危険がある。
(2)日本で生まれ育った子どもにとっては日本がホーム(故郷)であり、親の出身国のことばがわからないことも多い。
(3)日本に家族がいる。
(4)日本に長年暮らし生活の本拠になっている一方、 出身国にはつながりがない。
Q5
「在留資格」って何ですか?
A5
外国籍の人が、日本で継続的に生活するための資格です。資格を認めるのは日本政府です。
大きくわけて、身分または地位にもとづく在留資格と、就労などを含めた活動にもとづく在留資格があります。
資格によって、在留期限や認められる権利、社会保障や利用することができる行政サービスなどに格差があります。
Q6
「退去強制」って何ですか?
A6
退去強制とは、在留が認められない外国人を強制的に退去させる行政処分です。出入国在留管理庁による審査を経て、在留の理由がないとされた人たちは、退去強制の対象とされます。この審査では、在留を希望する本人たちの訴えが聞き入れられるとは限りません。また、難民申請をしていたが不認定だった人も、「日本にいるべきではない人」として、この退去強制の対象となります。
Q7
収容って何ですか?
A7
在留資格のない外国人が、「送還」までの間、出入国在留管理庁が管理する施設に入れられ、無期限で身柄を拘束されることです。
スマートフォンやパソコンなどの自前の通信手段は奪われます。家族や友人との面会は、アクリル板越しの小さな部屋で30分ほどの時間制限つきです。病気になっても、適切な医療を受けられる機会は非常に限られています。これまで、収容の長期化に起因した死亡事件や人権侵害も起こっています。
Q8
収容所って、要するに外国人向けの刑務所ですよね?
A8
まったく違います。刑務所は、刑法に違反した人が、一定の刑期のあいだ入れられる場所です。一方、収容所は、日本への出入りと在留を管理する入管法に違反した、日本国籍ではない人が、国外に出るまで身柄を拘束される
施設です。「帰国のための待合所」といわれることもありますが、現実には帰国できない人にとっては、いつ解放されるかもわからず無期限に収容される施設です。
Q9
どのくらいの期間、収容されるんですか?
A9
刑期のある「刑務所」と違い、入管収容には期限がありません。日本国外へ退去するか、仮放免されるまで続きます。
6ヶ月以上の収容を、長期収容と呼びます。以前は、6ヶ月~1 年くらいで仮放免になるのが一般的でした。
近年、収容の長期化が進み、長い人では7年以上収容されています。無期限収容や長期収容は甚大な人権侵害です。国連の拷問禁止委員会などの委員会も、日本政府に対して何度も是正を勧告しています。
Q10
「仮放免」って何ですか?
A10
収容が一時的に解かれることを、「仮放免」と言います。
送還忌避者の多くは仮放免者です。2000年代半ばから急増し、2015年には約3600人に達しました。仮放免中は働くことが禁止され、居住する都道府県外への移動も制限されます。それでも日本に暮らし続けることを選択し、仮放免のまま5年以上暮らしている人が999人。10年以上仮放免の人も150人います(2019年6月末時点)。
Q11
再提出される法案でも、難民のひとを強制送還するってほんと?
A11
ほんとうです。現行の入管法には、日本も批准している難民条約にもとづき、難民申請者の送還停止が定められています。再提出法案でもまた、難民申請者であっても送還できるようにする措置が含まれる予定です。日本の難民認定率は1%にも達していません。本来難民として認められるべき人が認められない難民認定制度のほうを改善することなく、難民申請者の送還を実行することは許されません。
Q12
政府は、難民ではないひとが、滞在を長引かせるために
繰り返し難民申請をしていると言っているけど?
A12
そうとは限りません。何度か難民申請をしたあとでようやく認定を受けたり、人道的配慮により在留を許可される人もいます。
現行の難民認定制度は、適正に難民を認定する上で十分ではないと、専門家や支援団体などからも指摘がされています。
Q13
でも、難民申請者の一部に、難民ではない人もいるんですよね?
A13
ある消防隊が「間違い通報が多い」とぼやいて火事にもほとんど出動しなかったとしたら、みなさんはどう感じますか? ぼやくのは、まず火事に出動してからにしてほしいと思うでしょう。日本では、他国で難民認定されるような人も認定されていません。
難民認定率の低さは世界的にダントツです。まずはその点を是正すべきです。
難民申請者を送還するなど論外です。
Q14
再提出法案もダメというなら、収容や送還の問題解決に向けて、代案はあるのですか?
A14
あります!
第一に、在留特別許可です。これは、在留を希望する非正規移民の事情を考慮して在留を認めるものです。基準を設けて一律に在留を認める「アムネスティ」を採用している国も多く、日本も検討すべきです。
第二に、難民認定です。日本では難民認定率が低く、本来難民として認められるはずの人が認められているとは到底言えません。また、定住する人たちの権利を認め、この社会で共に生きるための政策(社会統合政策)も必要です。
Q15
なにかできることはありませんか?
A15
あります!2021年の入管法改定案は、多くの人びとの反対の声によって廃案となりました。問題について知り、当事者の声を聞き、現場で支援する人々の提案に耳を傾けてください。
署名をしてください。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどに、自分なりのことばで疑問や心配、想いをひとこと言うこと。小さな声も集まれば、政治を大きく動かす力になります。移民・難民、出入国管理法についてのアーカイブサイト「Open the Gate for All」にもご注目ください。
入管法改悪反対の意思を示したい人は、以下からアクションいただけます!