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2021.04.03 声明・意見

入管法改悪に対する抗議声明

今国会で審議予定の改定入管法政府案は、送還忌避・長期収容という問題の「解決」にはならないばかりか、対象になる外国人に対して不利益や重大な人権侵害を引き起こす内容となっています。
2021年4月3日に移住連は、この入管法改悪に対する抗議声明を発表しました。



入管法改悪に対する抗議声明

 今国会で審議予定の改定入管法政府案に対し、私たちは以下の理由から抗議の意思を表明します。

 今回の法案では、外国人のなかでも、有効な在留資格がない一方で、「帰れない事情」を抱え、日本に在留を希望する人々がターゲットとされています。この法案は、「送還忌避者」として「迅速」に送還することによって問題を「解決」しようとしていますが、実際には、問題の「解決」にはならないばかりか、対象になる外国人に対して不利益や重大な人権侵害を引き起こす内容となっています。

 本法案では、有効な在留資格がない外国人に在留を認める在留特別許可(以下、在特)の手続きが法律に規定されました。一方で、退去強制令書(以下、退令)発付後の在特の申請権は認められず、また特定の外国人に対しては、在特を原則として除外する規定が設けられるなど、正規化の対象が今までより狭められます。退令が発付された後も、日本に在留を希望する外国人には、出身国に戻ると身の危険がある、日本に家族がいるなど帰れない事情があります。しかし今回の法案では、このような事情を抱え、すでに日本を生活の本拠として暮らしている人たちに在留を認める方向での解決策は示されていません。また収容問題の長期化にたいして設けられた監理措置についても、現在の仮放免同様、「仮の状態」であることに変わりはありません。在留できるかわからないまま監視の下におかれる生活では、安心を得られず、将来の設計もできないという意味で、人生の可能性が奪われた状況が続くことになります。くわえて収容、仮放免、監理措置のいずれもが、入管の独断によって決定されることになっており、入管の恣意的な、あるいは誤った対応を防ぐ術はほとんど規定されていません。国連の人権機関等から繰り返し勧告されているように、無期限の収容を認めている現在の収容制度そのものを国際水準に改善することこそが必要です。

 さらには、難民申請者に対する送還停止効の例外規定を設けることの問題もあります。この例外規定は、複数回の難民申請を「制度の濫用」とする認識にもとづいていますが、すでによく知られているように、問題の根底には、日本では難民認定制度が整備されていないために、結果として認定率が非常に低いという事実があります。こうした状況のなか出身国での迫害等から逃れてきた人々が何度も難民申請を繰り返すのは当然です。にもかかわらず、難民申請中であっても送還できるようにする今回の法案は、難民条約違反ですし、何よりも難民申請者の生死にかかわる問題を引き起こしかねません。

 それ以外にも、この法案には、被送還者の受け取りを拒否している国の出身者等にたいする出国の命令と罰則措置など当事者にとって有害な規定の創設もあります。

 そして何よりも、今回の法案は、在留資格がない状態は、「ルールに違反」をした外国人本人の責任であることを前提としています。しかし、在留資格の有無は本人の責にのみ帰せられるものではありません。適切な移民政策が確立されないなか、外国人を多くの場合、安価な労働力として利用してきたのは日本社会です。またこれまで、難民認定は適切に行われず、在留特別許可も入管の恣意的な判断によって決められてきました。日本政府こそが、家族の結合権の無視をはじめ国際条約という「ルールに違反」をしてきたのです。

 これらを踏まえれば、送還忌避・長期収容という問題の解決にあたっては、「帰れない事情」のある外国人に、難民認定や在留特別許可を認めることおよび無期限収容の制度を根本的に改善することが唯一の解決策です。またそれは、日本が、人権にもとづく移民・難民受け入れ国として確立する一歩ともなるはずです。

 以上の理由から、私たちは、入管法改定案に抗議し、廃案を求めます。また移民・難民の人々の人権と尊厳を保障する移民政策の確立を求めます。

 

2021年4月3日
NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

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