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声明・意見voice

2009.01.16 声明・意見

外国籍住民の緊急雇用対策及び諸支援に関する意見書

ご承知のように、現在、雇用情勢が急激に悪化し、非正規労働者の雇い止め、解雇等が深刻な社会問題となっています。外国籍住民の多くは、非正規労働者としての就労を余儀なくされており、その煽りを直に受けています。そのため、失業とともに住居を失い、車上生活・路上生活を余儀なくされている家族が増加しています。また、外国人学校の閉鎖も相次いでおり、教育を受けられない子どもが急増するなど、深刻な影響がすでに出ています。外国籍住民の多くは、すでに日本に定住しており、帰国することなく今後も日本社会での生活を続けていくものと思われ、今、必要な支援がなされなければ、その影響はより深刻なものとなることが懸念されます。

こうした事態に対応するためには、外国籍住民に関する緊急的な雇用対策及び諸施策の実施が必要と考えます。関係省庁におかれましては、現在も諸施策を実施しているところですが、今後さらなる施策の検討にあたり、私たちの意見を参考にしていただければ幸いです。

1 緊急雇用対策等の検討および実施にあたっては、外国籍住民についても遺漏がないよう十分に留意する必要があります。

2 外国籍住民のおかれている状況を早急に調査し、現状を把握することが必要です。とりわけ、次の項目及びその他必要な項目についての把握が求められます。

(1)外国籍労働者の雇用状況および解雇・失業状況

(2)公立学校および外国人学校における外国籍児童・生徒の就学状況

(3)雇用に付属していた住居に居住していた、または家賃またはローンが払えなくなったなどで従前の住居を失った外国籍者の人数

(4)路上生活を余儀なくされている外国籍者の人数

(5)失業等により帰国をした外国籍者の人数

(6)研修・技能実習の中途段階で解雇された研修生・技能実習生の人数

3 外国籍住民の雇用および生活に係る多言語での相談窓口の設置が必要です。

4 外国籍労働者の雇用対策については、とりわけ次の事項に留意する必要があります。


(1)外国籍住民が情報にアクセスできるよう、諸施策について多言語での情報提供

(2)日本語学習を含め、外国籍住民が利用可能な職業訓練等の再就職支援の実施

(3)悪質な解雇や雇い止めを行う企業の指導の強化

5 雇用の喪失等により生活が困窮している外国籍住民に対し、以下の生活保障に努めることが必要です。


(1)雇用保険についての多言語での情報提供、および雇用主側の事情により未加入だった場合の遡及加入等の適正な対応

(2)自立支援金の支給や生活保護制度についての多言語での周知およびその弾力的な運用

(3)雇用に付属した住居や寮に居住している労働者が雇い止めや解雇になった場合に、その後も住居を無償で住居を提供する企業への助成について、同施策の多言語での周知徹底。また助成期間については、次の雇用もしくは生活手段が確保されるまでとするなど十分な対応。

6 外国籍児童・生徒に関して次の支援策を講じる必要があります。


(1)外国人学校に通う児童・生徒および外国人学校への緊急の経済的支援

(2)外国人学校に通えなくなってしまった子どもが不就学に陥ることなく日本の公立学校に円滑に転入できるよう必要な支援

1 外国人学校を退学した子どもの就学状況についての確認

2 就学援助や奨学金等の情報についての多言語での情報提供

3 日本語指導員等の増員にかかる財政支援

7 解雇や雇い止めにあった外国籍者の在留資格の更新等にあたっては、速やかな更新など当該外国籍者の不利益とならないような対応が必要です。

8 外国人研修・技能実習制度に関し、制度の趣旨に反し、受入れ企業や協同組合の都合によって、研修・実習期間中であるにもかかわらず、計画取りやめや強制帰国が増加しています。そうした事態に対応するために、以下のような対応が必要です。


(1)研修・実習期間中であるにもかかわらず研修生・実習生が出国手続きを行う場合は、当該研修生・実習生の意思を十分確認し、意思に反する帰国をさせないこと

(2)受入れ機関の都合で研修・実習が中途で取りやめになった場合には、当該研修生・実習生の再研修・実習先の確保に努めること

(3)中途で研修・実習を取りやめた受入れ機関には厳正な処罰を行うこと

9 緊急雇用・生活対策を行う自治体に対し、財政的支援も含め、十分な支援が必要です。


10 日本での生活が成り立たず帰国を希望しているにもかかわらず、その費用が捻出できない人の帰国費用を支援する必要があります。


以上

2009 年1 月16 日

移住労働者と連帯する全国ネットワーク

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