私たちは多民族・多文化の人びとが互いの違いを大切にし合い、多様性による豊かさが育まれる社会をめざして、「第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸」に集いました。しかし現在日本の各地では、そうした理念に真っ向から反した、特定の民族・国籍の人びとに対する憎悪をあおり立てる、聞くに堪えない過激な言動が街頭で公然と行われ、激しさを増しており、深い憂慮と憤りを感じます。
日本では1980年代以降の移住者人口の増大と、1990年代に始まった「外国人犯罪」キャンペーンの影響などから、外国籍者や外国にルーツをもつ人々に対するゼノフォビア(外国人嫌悪)が広がり始めました。また反中国を公言する石原前東京都知事のいわゆる「三国人発言」が、国内外から違法性を指摘されていたにも関わらず、結果的に放置されたため、公然とヘイトスピーチ(憎悪・差別表現)を行う人々が一般社会でも増え始めました。2000年代以降の近隣諸国との歴史認識問題をめぐる軋轢の中で、歴史修正主義と嫌韓反中意識が広がり、外国人排斥を主目的とする極右団体も誕生しました。そして2010年代にはついに、在日コリアンが多く住み、店舗を出す地域で「大虐殺を実行する」「朝鮮人を駆除せよ」「よい韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」といった敵意や憎悪に満ちた街宣活動が、白昼堂々繰り返されるようになりました。
私たちは日本を、人びとの心を深く傷つけ、生存の脅威を感じさせる暴言やジェノサイド(集団虐殺)、エスノサイド(民族抹殺)の公言を放置するような社会にしたくはありません。特定の民族集団を「殺せ、殺せ」と叫ぶ街宣活動が拡大していく社会は、国際社会からも孤立し、危険視されていきます。
私たちは、敵意や憎悪が広がる事態を速やかになくすべく、思いを同じくする人たちと幅広く連携・協力し、以下の課題に取り組んでいくことを表明します。
2013年6月16日
第9回移住労働者と連帯する全国フォーラム・神戸2013
参加者一同