2014年12月26日、移住連は日本カトリック難民移住移動委員会と共に、下記の抗議声明を出しました。
チャーター機によるスリランカとベトナムへの強制送還に対する抗議声明
法務省入国管理局は2014年12月18日、超過滞在などを理由に入国管理施設に収容していたスリランカ人26名とベトナム人6名を羽田空港からチャーター機により強制送還しました。チャーター機による集団送還は2013年7月6日(フィリピン人75人)、同年12月8日(タイ人46名)に続いて3回目です。私たち移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)、および日本カトリック難民移住移動委員会(JCaRM)は、突然の一斉送還が繰り返し行われることに強く抗議します。
報道によると、32名の送還者のなかには、日本にパートナーと子どものいる男性や庇護申請者が含まれていたとのことです。前回2回の送還時と同様、被送還者の選定基準は恣意的かつ不透明であり、人権に十分な配慮した対応とは言えません。
くしくも、12月18日は国連が定める国際移住者デーあるにもかかわらず、その趣旨を無視するかのような暴挙を、私たちは決して容認することができません。
私たちは、送還を忌避する非正規滞在者の強制送還について、従来から執行されている個別送還に関しても、さまざまな人権・人道上の問題を指摘してきました。移住連とJCaRMは共同で、2013年7月のフィリピン・マニラへの一斉送還に関して、実態調査団を派遣して現地調査を行いました。調査の結果、退去強制令書発付処分等取消請求訴訟の提訴期限内の被送還者が多数いたこと、送還過程における男性に対する手錠の過剰使用といった問題点のほか、多くの被送還者が、日本で一緒に暮らすパートナーや子どもなど家族と分離させられていたことが判明しました。また、長年にわたり滞在し生活基盤を築いた日本から突然送還されたことで、フィリピンでの生活のめどが立たずに苦しんでいる状況が明らかになりました。
この送還に関して、2013年11月5日の衆議院法務委員会の一般質疑で、郡和子議員がさまざまな人権・人道上の問題点の指摘を行いました。しかし、政府は必ずしも誠実に答弁を行うことなく、一斉送還の「安全性」や「経済性」に関する「利点」の説明に終始したのでした。そして、移住連およびJCaRMをはじめとする団体や当事者からの一斉送還に対する抗議を無視するかのごとく、第2回、第3回の送還が強行されています。
私たちは、当事者が望まない、さらには帰国後の平穏な生活が期待できない強制送還を繰り返すことによる非正規滞在者の縮減に反対します。私たちは、非正規滞在者一人ひとりに対して、日本への定着性が十分に考慮され、合法化が検討されることの必要性を強く訴えるとともに、日本政府に対し、非正規滞在者をめぐる政策を根本的に見直すよう求めます。