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声明・意見voice

2017.07.20 声明・意見

【パブコメ】技能実習「介護」の職種追加について

 本日、移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、外国人技能実習生権利ネットワークと連名で、「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令 (案)及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の規定に基づき法務大臣及び厚生労働大臣が定める特定の職種及び作業の一部を改正する件(案)」に関する意見募集にあたり、以下のパブリックコメントを提出いたしました。

 

●意見募集(パブコメ)
「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令 (案)及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律 施行規則の規定に基づき法務大臣及び厚生労働大臣が定める特定の職種及び 作業の一部を改正する件(案)について」

法務省入国管理局および厚生労働省職業開発局
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=495170085&Mode=0 


2017年7月20日

「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の一部を改正する省令の一部を改正する省令 (案)及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則の規定に基づき法務大臣及び厚生労働大臣が定める特定の職種及び作業の一部を改正する件(案)」に関する意見

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク
外国人技能実習生権利ネットワーク


技能実習「介護」の職種追加について

 日本は介護分野における深刻な労働者不足に直面しており、団塊の世代が75歳以上になる2025年度には38万人の介護職が不足するという。そうしたなか、国際貢献を目的に、介護分野の技能実習生を受け入れる余裕のある介護施設がどれだけ存在するのか甚だ心もとない。現実には、介護労働者不足の解消を図るために受け入れを望む実習実施者が多いのではないか。

 家族介護がほとんどの開発途上国では介護職が職業として定着しておらず、日本で学んだ技術が帰国後にどう活かされるのか大いに疑問がある。少なくとも介護職種の追加にあたっては、あらかじめ技能実習ニーズに関して、送出し国ごとに経済的・社会的な指標を活用して客観的に把握することとし、また帰国後の技能の活用について、その見通しを明らかにする必要がある。
 例えば、ベトナムでは、2009年に制定された高齢者に関する法律で、高齢者のケアはその子孫または扶養の義務ある者が行うこととされ、家族が介護を担うのが一般的である。そもそも、介護関連施設(民間の有料老人ホーム)は、国内に10ヶ所に過ぎないとされている(2014年JICA調査)。これでは施設介護のニーズがあるとは、とても言えないであろう。
 また、「技能実習制度における移行対象職種・作業の追加等に係る事務取扱要領」においては、「追加の対象となる職種に係る海外の実習ニーズの存在を明らかにするため、複数の送出し国の中央政府の行政機関が発行した要望書を必要としている」と記載している。
 しかし、「介護の技術移転による国際協力」を実施するならば、通常の政府開発援助(ODA)でとりいれられている国別開発協力方針にみられるように、国ごとのニーズを見極め、国別に介護職種での受入れの可否を判断すべきである。「複数の送出し国」の要望書という全く不十分な確認で、介護職種の追加の可否を一律に判断すべきではない。
 さらに、省令案には試験実施者として「一般社団法人シルバーサービス振興会」が記載されている。しかし、同振興会がこれまで実施してきた「キャリア段位制度」は、「実際にその現場で何ができるのか」という実践的スキルを目指した内部評価制度である。したがって、「キャリア段位制度」の延長では、「技能実習制度における移行対象職種・作業の追加等に係る事務取扱要領」が「技能実習評価試験の認定基準」として示している「試験内容及び方法が、当該職種に係る技能等の修得等の程度を測るものとして適正、客観的かつ公正であること」という要請を満たすことができない。
 試験実施者として「一般社団法人シルバーサービス振興会」を選定した具体的な根拠、すなわち事務取扱要領の要請をどのように満たした技能検定が実施できるのか、という点を明らかにした上で、改めて提案すべきである。

以上

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