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声明・意見voice

2017.04.19 声明・意見

「技能実習法施行規則等に対する声明」を発表しました (English ver. available)

本日、移住連では、「技能実習法(外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律)」の施行規則等に対して声明を発表いたしました。

   

技能実習法施行規則及び同法基本方針等の制定に対する声明   (PDF)  

※English version is here. 

 技能実習法は、2016年11月に臨時国会において可決成立した。
 これに対して私たちは、「技能実習法の成立に対する声明」を出し、「技能実習法は、従来の技能実習制度の基本構造を維持したまま、外部的な規制により改善を図ろうとする一方、大幅な制度拡大を実現しようとしている。しかし、その規制策には大きな欠陥があり、制度の改善に結びつくものと評価することはできない」との見解を示した。
 その後、パブリックコメントを経て、さる4月7日、技能実習法に関わる政省令や告示が公布され、同法施行規則及び基本方針等が定められた。
 先の声明において私たちは、技能実習制度の拡大策について技能実習法が歯止めをかけていないことに懸念を表明していたが、残念ながらその危惧が的中してしまった。
 すなわち、拡大策のほとんどは主に関係省令に委任されたが、特に受入れ人数枠の拡大は白紙委任に等しかった。その結果、「2倍程度」と説明されていた受入れ人数枠の拡大は、施行規則第16条において、「優良」な実習実施者の場合、常勤職員数が「50人以下」であれば従来は年間3人×3年=最大9人であったところ、常勤職員数「41人以上50人以下」では、5年間で最大60人にまで拡大された。また、常勤職員数が「31人以上40人以下」の場合は最大48人まで、「6人以上30人以下」は最大36人までなどとなっている。
 このように常勤職員数を大きく超える受入れは、技能実習制度を技能移転のためというより、労働力政策として実施するものと言わざるを得ない。技能実習制度の目的を達成する観点からは、少なくとも、例えば、受入れ可能な技能実習生総数を「実習実施者の常勤職員数を超えてはならない」とするなど、受入れ人数枠を限定すべきである。
 また、技能実習3号への移行要件となる「優良」の判断基準においても、「優良」性を確保できる基準となっているか大いに疑問があり、安易な拡大につながる恐れが強い。
 すなわち、「優良」の判断方法としてポイント制が採用されたが、その1要素である実習実施者の「基礎級程度の技能検定の合格率」では、「95%以上」が20点、「80%以上95%未満」が10点、「75%以上80%未満」が0点などとされている。
 しかし、そもそも基礎級程度の合格率は現状で99%を超えており、こうした中、「95%以上」の合格率であってもそれは決して「優良」と判断する材料とはならない。したがって、「参考資料」におけるポイントの扱い方は失当であり、改善されるべきである。
 このように規制が不十分なまま、制度の拡大策だけが推し進められることは決して許されない。少なくとも制度の拡大は、「徹底的な改善」が実現された後に、はじめて実施されるべきである。

                                                                                                               以上

2017年4月19日
特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク
外国人技能実習生権利ネットワーク

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