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2019.04.16 声明・意見

【パブコメ】「永住許可に関するガイドライン」の一部改正に関して意見を提出しました

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、「「永住許可に関するガイドライン」の一部改正に関する意見募集(パブリックコメント)」にあたり、2019年4月16日付で以下のパブリックコメントを提出しました。

●意見募集(パブコメ)概要
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300130156&Mode=0


2019年4月16日

「永住許可に関するガイドライン」の一部改正に関する意見

 

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
代表理事 鳥井一平
〒110-0005 東京都台東区上野1-12-6 3階
TEL 03-3837-2316  FAX 03-3837-2317

 

 私たちNPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、この社会で暮らし、働くさまざまな移住者の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会を目指す個人、団体による全国ネットワークです。
 標記について、以下の意見を述べます。

 

 

1.  居住国での安定的な生活につながる永住資格の付与は、「共生」社会の基盤の1つ

 政府は、2018年12月に、新たな外国人労働者の受入れを可能とする出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)の改定案を成立させた。そして、同月、改定入管法の施行に先立って、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(以下「総合的対応策」)を閣議決定した。総合的対応策では、「共生社会の実現を図ることにより、日本人と外国人が安心して安全に暮らせる社会の実現に寄与するという目的」をうたっている。
 国民とは異なり、日本国籍をもたない者は、在留資格(「特別永住者」は在留の資格)と在留期間によって活動が規定されており、在留資格によっては、自由に職業を選択することができない。つまり、法的に、共生の基本要素の一つである「対等な立場」で社会に参加することが困難な状況があるということである。
 そのような外国人にとって、在留期間の制約のない永住資格を取得することは、居住国である日本で安定的な生活を送るための貴重なステップである。日本国政府もそれを了解しているからこそ、新規入国時には在留期間によって居住が制限されている外国人に対しする永住許可の規定を定めているのである(入管法第22条)。
 1992年末には45,229人(外国人労働者の3.5%)であった(一般)永住者は、2018年末には771,568人になり、在留外国人の28.3%を占めるようになっている。これは、いわゆるニューカマーの滞在長期化や定住化が進行したことに加えて、1998年に許可要件が原則20年から10年に短縮され、その後も、我が国への貢献などを要件として、居住要件に特例措置が導入されたゆえである。さらに、日本人の配偶者や子ども、難民認定者などに対しても、人道的な見地から居住要件が緩和されていることは、周知のとおりである。
 そして、永住権を得ることで、外国人はより安心して、安定的に日本社会で生活し、働き、学ぶことができるのである。つまり、永住許可は外国人の社会統合の重要なステップであり、かつ「共生」社会の基盤の一つでもある。したがって、共生社会の実現を掲げる日本政府が、今後、より一層、永住許可要件を緩和すべきである。

 

2. 「技能実習」も「特定技能1号」も居住要件の就労資格に認めるべき

 18年改定入管法で、在留資格「特定技能」が創設された。同1号と2号は、改定入管法において、それぞれ「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動」、「熟練した技能を要する業務に従事する活動」と規定されており、いわゆる「単純労働者」ではなく、専門的・技術的分野の技能水準をもつ労働者であるというのが政府の見解である(下図参照)。

出所:法務省入国管理局「新たな外国人材の受入れについて」(2019年3月)




それにもかかわらず、従来の専門的・技術的労働者とは異なり、家族帯同が認められず、最長滞在期間が設定されている。このような差別的な扱いに加えて、ガイドラインの改定案では、永住許可用要件の「就労資格」から「特定技能1号」を除くことが提示されたが、その合理的な理由は示されていない。新たに追加された「差別的」な改定は、特定技能1号の外国人労働者が、より安定的に日本社会で働き、暮らすことを阻むものであり、彼/彼女ら単なる使い捨ての労働力としてしかみなしていないことを端的に示すものではないだろうか。
 また、改定入管法の国会審議、あるいはマスコミ報道において、外国人労働者の受入れを拡大したとしても、はたして日本は「選ばれる国」なのか、という批判的な指摘がみられた。日本同様に少子高齢化が進行するアジア諸国において、外国人労働者の争奪が予測されるからである。
 したがって、外国人労働者の日本での安定した暮らしを保障し、また日本が「選ばれる」国になるためにも、より魅力的な環境を整える必要がある。永住権へのアクセスの保障は、その重要な手段の一つである。ゆえに、特定技能1号も、従来の専門的・技術的労働分野の在留資格と同様に、永住許可の居住要件の就労資格として認めるべきである。
 また、技能実習生に関しても、2号修了後に帰国することなく、労働力不足への対応を目的とした特定技能1号に移行した場合、母国を離れ、何年間にもわたり日本の産業を支えることになる。これはまさに「国際貢献」ではなく日本社会への「貢献」であることから、在留資格「技能実習」での滞在期間も、特定技能1号とともに就労資格として認めることが妥当である。

 

3. 義務の履行を求めるよりも、真の「共生」のための環境整備が優先されるべき

 外国人の保険・年金加入に関しては、雇用主が負担をきらって加入させないということが、これまで、しばしば指摘されている。日本社会の構成員として、公的義務の履行が求められることは理解できるが、必ずしも本人の責ではない事情で適切な加入ができなかったり、入管法上の届出が遅延する(例えば災害や事故、病気など)こともある。「共生(包摂)」を目指すのであれば、個々の事情を十分に勘案すべきであり、公的義務の履行をしていないという理由のみで、永住申請の要件を満たさないと一律に排除することは適切ではない。

以上

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