移住連は、本日、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例(仮称)への意見募集に対して、以下の意見書を提出しました。
【意見募集概要】
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/06/04/04.html
【条例案概要】
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/06/04/documents/04_01.pdf
【提出先】
東京都総務局人権部企画課
意見募集対象 |
東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例(仮称)の概要に関すること。 |
意見募集期間
平成 30 年6月5日から同月 30 日まで
氏名(名称)【必須】 非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク
住所(所在地)【必須】東京都台東区上野1-12-6 3F
意見
該当箇所 P.2
意見内容(1)
「3 本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進」を、「3. 人種等を理由とする差別の解消に向けた取組の推進」とすべきである。
意見内容(2)
1.日本も加入している人種差別撤廃条約にもとづき、人種差別撤廃のための内容とすべきである。
2.「人種等を理由とする差別の解消に向けた取組の推進」のため、以下のような体制の構築をすべきである。
①相談受付体制を整備すべきである。なお、相談受付体制については以下の点を含めるべきである。
②被害救済システムを構築すること
③差別行為もしくは差別的言動及び不当な差別的取り扱いがあった場合、その行為を行った者への警告や罰則を含めた具体的な措置を定めること。
④あらゆる方面に向けて、本条例(案)にかんする啓発に取り組むこと。
⑤当事者(被差別少数者)を含めた「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例作成都民会議」を早急に設置すること。
⑥差別解消検討会を設置すること。差別解消検討会は相談受付機関、第三者調査機関、東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例作成都民会議(➄)、また、有識者などにより構成されること。
⑦差別解消検討会は、実態調査、長期計画策定、行政施策や運用規則への反映などに取り組むこと。
意見内容(3)
オリンピック憲章にうたわれている人権尊重の理念をふまえ、差別撤廃やマイノリティの人権尊重の幅広い内容を含む、多民族多文化共生にかんする条例の制定が別途必要である。
理由
上記意見(1)(2)に関して
◆法務省は昨年3月、『外国人住民調査報告書』を発表した。これは、東京都港区、江東区、品川区、目黒区、世田谷区、中野区、葛飾区、江戸川区、八王子市をはじめ、全国37市区から各500人、計18,500人の外国人住民を対象とした調査であり、政府による初めての調査であった。
◆この調査の全国集計結果を見ると、
◆「オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例」を作成するには、外国人住民の日常生活での被差別体験やヘイトスピーチ被差別体験などを示す上記の法務省調査結果を立法事実とし、「性自認や性的指向等を理由とする差別の解消、不当な差別的言動及び不当な差別的取扱いの解消」の実効化を図る条例とすべきである。
◆東京都は当然、調査対象となった都内8区1市の調査結果を検討しているはずである。東京都はまず、都内8区1市の調査結果とその分析結果を都民に公表すべきである。
◆そして、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念実現のための条例作成都民会議」を早急に設置すべきである。そこでは、委員の半数以上が当事者(被差別マイノリティ)となるべきである。
上記意見(3)に関して
◆東京都は、「多様性を都市づくりに活かし、全ての都民が東京の発展 に向けて参加・活躍でき、安心して暮らせる社会の実現」を掲げた「東京都多文化共生推進指針」を2016年2月に策定した。
今回の条例案は、オリンピック憲章にうたわれている人権尊重の理念 を掲げたものである。実際に差別撤廃やマイノリティの人権尊重を実現 するためには、都多文化共生推進指針で提示した基本目標、施策目標及 び施策体系を確実に推進することを含めた、多民族多文化共生社会をつくるための基本条例が制定されることが強く望まれる。
多文化共生に関する基本条例は、宮城県(2007年)、静岡県(2008 年)が制定している。外国籍住民数が最も多い東京都が、基本条例を制 定することの意義は非常に大きいと考える。