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お知らせNews

2023.05.11 事務局から

【支援に関する情報】オーバーステイなどビザ(在留資格)のない子どもに出会ったら


私たちは、日ごろから外国籍の生徒や教職員の相談を受け、子どもの人権を保障するために必要に応じて在留資格手続きのサポートをする活動をしている教育関係者、支援団体、弁護士のネットワークです。外国籍の生徒に関わる相談について、下記のとおりご案内いたします。

 

1 在留資格を確認する際に気を付けること

在留資格の有無や内容は外国籍生徒にとって細心の注意をはらうセンシティブな情報です。進路指導で在留資格を確認する際には、就職や進学など進路の保障をするために確認する必要があることなどを丁寧に説明し、生徒本人や家族の了解を得るよう努めることが重要です。それらの説明をした上で、生徒や家族が在留資格の有無も含めて回答したくないときは無理に聞くことがないよう配慮する必要があります。

 

2 在留資格の有無を問わず教育を受ける権利があります

在留資格の有無にかかわらず、すべての子どもは教育を受ける権利が保障されており、政府(文部科学省)も、そのことを前提としています(例えば2011年12月16日付け政府答弁書)。

 

3 在留資格がない場合でも日本に滞在できる制度があります

 オーバーステイなど在留資格がない(非正規滞在)外国籍者が日本に滞在できる制度として「在留特別許可」があります。たとえば「長期間日本で暮らしている」「日本の学校で教育を受けてきた」などの事情を考慮して「在留特別許可」により在留が認められることがあります。また、仮放免制度(入管法54条、55条1項)等も存在します。このように正規の在留資格がないことが判明したとしても、日本に滞在できる制度があります。

※子どもの在留資格がないとは?

家族の病気、失業、その他家庭の事情など、本人に責任のない理由によって在留資格を持っていない子どもがいます。


Aさんの例:お母さんが難病で自分の国では治療ができないので帰国できずオーバーステイになってしまった。そのためAさん自身も在留資格を失った。

 

Bさんの例:Bさんは日本での学校生活に馴染み、母国語も忘れつつあったが、両親が離婚し、お母さんと暮らすことになった。しかし、お母さんがすぐに仕事を見つけられずオーバーステイになったため、Bさんも在留資格を失った。


Cさんの例:親が紛争が続く本国から逃れてきて来日し、その後Cさんが日本で生まれた。しかし、親の難民申請は認められておらず、Cさんは生まれたときから在留資格を持っていない。

4 子どもの最善の利益のために

 

日本政府も批准している国際条約である「子どもの権利条約」は、「子どもに関するすべての措置をとるに当たっては…行政当局又は立法機関のいずれによって行われるものであっても、子どもの最善の利益が主として考慮されるものとする」(3条)としています。前記のように、在留資格がない状態でも日本に滞在できる場合もあり、「生徒の在留権・学習権を保障するためにどのような支援が可能か」という観点から関わる必要があります。

なお、出入国在留管理庁(入管)は外国籍者の管理を主たる業務としており、相談することが本人の不利益になることがあります。とりわけ在留資格のない生徒については、本人の意思にかかわらず国外退去の手続きが開始されることもあります。

※通報義務は除外されます

入管法違反についての公務員の通報義務については、法務省の解釈が出されており、次のような通知により、通報義務を除外できる場合が示されています。


「その通報義務を履行すると当該行政機関に課せられている行政目的が達成できないような例外的な場合には、当該行政機関において通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断することも可能である。」(「出入国管理及び難民認定法第62条第2項に基づく通報義務の解釈について(通知)」(法務省管総第1671号平成15年11月17日)より)教育行政は子どもの最善の利益を守ることを義務としています。

そのため、入管法違反についての通報義務よりも生徒の在留権や学習権などを保障する義務が優先されます。

5 在留資格が無いなど、在留資格をめぐるトラブルの相談

 

 生徒の在留資格がないことが判明した場合、下記の団体などに相談することができます。これらの団体は、経験豊富な弁護士や行政書士などの専門家と連携しながら、子どもの人権を擁護する立場から相談活動に取り組んでいます。


団体名


問い合わせ先

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク

https://migrants.jp/index.html



子ども・若者プロジェクト
 
TEL 090-4000-7438(高橋)


NPO法人 APFS(ASIAN PEOPLE’S FRIENDSHIP SOCIETY) 
http://apfs.jp/ *板橋区


TEL 03-3964-8739
(月・火・金曜日 15:00~19:00)

apfs-1987@nifty.com



一般社団法人レガートおおた

https://www.legatoota.jp/ *大田区


TEL 080-4922-6966
(月・木・金曜日 11:00〜18:00)

 online@legatoota.jp


認定NPO法人 多文化共生教育ネットワークかながわ(ME-net)
https://me-net.or.jp

 


TEL 045-896-0015

(月・水・金曜日 10:00〜17:00)

 info@me-net.or.jp


※相談先一覧はhttps://onl.sc/hMRRXFsで随時更新しています。
(その他の参考資料)
非正規滞在外国人に対する行政サービス(日弁連・2016年2月)P.3参照
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/gyosei_serv_pam_ja.pdf

「外国人の子どもの就学機会の確保に当たっての留意点について」文科省・24文科初第388号・2012年7月5日)
 
就学事務Q&A(文科省)
2. 戸籍や住民票がない場合の就学手続について


海外ルーツの子どものための相談ネットワーク

(この文書に関する問い合わせ先)

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク

子ども・若者プロジェクト TEL 090-4000-7438(高橋)

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