新型コロナウイルスの感染拡大により多くの外国人が生活に困窮し、その日の食事にも事欠く状態になったり、居住する住居を失うなどという相談が支援団体に寄せられるようになっています。「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策の充実について」(2019(令和元)年6月18日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議)では、「外国人が、日本で、そして地方で「働いてみたい」、「住んでみたい」と思えるような国民と外国人の双方が尊重し合える共生社会を実現するため」の施策の推進が謳われているところですが、新型コロナウイルスの感染拡大という状況で外国人が施策から排除されることはあってはならず、積極的な支援策の実施により外国人が安心して暮らせる社会を実現するために、以下の項目について要望いたします。
このたび緊急小口貸付等について取扱いが改善されていますが、同制度が利用できる外国人を永住者の資格を持つものと限定した運用が見られます。このような運用は生活福祉資金貸付制度の趣旨にも反しますので、運用を改善するように指針を明確に示していただくようお願いいたします。
(回答)
生活福祉資金貸付制度は、いわゆる国籍条項は存在せず、外国籍の方がおられる世帯であっても貸付の対象としており、在留資格は 永住者等に限定しておりませんが、貸付にあたっては、日本国籍の方と同様、償還能力等に加え、残りの在留期間等を勘案の上で決定 されます。
このことについては、適切に運用されるよう、Q&Aにより、取扱を明確化し、周知を図っているところです。
住居確保給付金についても要件拡大などの制度改正が行われたところですが、一部自治体では入管法別表2と特別永住者、入管法上の認定難民に対象を限るという運用が行われていて、制度の趣旨にそぐわない運用が見られます。入管法別表1の在留資格を有し、法の要件を満たしている外国人も制度の対象となることを明確に示して、生活に困る外国人が住居を失わないような支援策を推進してください。
(回答)
住居確保給付金は、生活困窮者の就労による自立の支援と安定した住まいの確保を図ることを目的としています。支給にあたっては、いわゆる国籍条項は存在せず、日本国籍の方と同様、収入要件や求職活動要件等の各種要件を満たす場合であれば、支給対象となります。
すでに住居を失い緊急的な支援が必要な状況に置かれている外国人の相談も支援団体に寄せられており、このような外国人には一時生活支援事業等の利用により、まず衣食住を保障して生活再建に結び付けていく必要があります。ついては、一時生活支援事業の利用に際しては在留資格の種類は問わずに利用可能であることを明確化して、運用の改善を図ってください。また、住居を失った外国人については住民登録地に行くように指導するなどの不適切な運用はせず現在地で実施するように指導してください。また、制度を実施していない自治体には、今回の状況を踏まえて制度を実施するように強く働きかけを行っていただきますようお願いします。
(回答)
一時生活支援事業は、住居を持たない生活困窮者に対して、衣食住等の支援を行うものです。
いわゆる国籍条項は存在せず、日本国籍の方と同様、要件を満たせば対象となります。なお、基本的には本人の居住地で対応される ものですが、居住地がない場合は現在地において対応することとしています。
帰国予定であったが、航空機の運休等により帰国できず、生活基盤自体が失われた状態のまま途方に暮れている外国人の相談も寄せられています。このような外国人には、在留資格の延長のほか、当面の衣食住の保障を含めた支援策を実施してください。
(回答)
御指摘の「帰国できない外国人」について、在留資格の状況等については承知しておりませんが、在留資格があって適法に滞在され る方であって、生活困窮者自立支援法に基づく一時生活支援事業の要件を満たす方であれば、当該事業の対象となりうるものと考えま す。