今国会で、技能実習制度に代わる新制度「育成就労」を創設するための改定入管法案の提出が予定されています。加えて、「永住に繋がる特定技能制度による外国人の受入数が増加することが予想される」ことへの対応として、永住許可要件を一層明確化し、当該要件を満たさなくなった場合を在留資格取消事由として創設するための法改定も予定されています。
在留資格「永住者」は、一定年数日本で暮らし、安定的な生活を送っているなどの厳しい要件を満たしたことで付与される在留資格です。外国人にとって、在留期間に制限のない在留資格をえることは、安定的に日本で生活できるという安心感につながり、日本を生活基盤として中長期の生活設計を考える外国人の多くが「永住者」を目指しています。そして、受入れ国である日本にとっても、永住者が増加することは好ましいことであるはずです。
一方、近年、永住許可の審査は極めて厳格化しています。また、現在でも、申請時に虚偽があった場合等の永住者の在留資格取消制度や一定の刑罰法令違反があった場合の退去強制制度は存在します。
それにもかかわらず、永住許可後も、外国人の生活状況等を管理・監視し続けるような新たな制度の導入が、なぜ必要なのでしょうか。高齢になったり、家族事情が変化したり、あるいは社会経済的情勢の影響などにより、永住許可時の本人の状況が変化することは、当然ありうることです。
永住資格取消し制度の導入は、永住者として暮らす90万人近い外国人(23年6月末現在:880,178人で、在留外国人の27.3%)の立場を不安定にするのみならず、これから永住許可申請をしようとする外国人に、大きな不安を与えるものであり、政府が目指す「共生社会の実現」にも逆行します。
移住連は、当該制度導入の問題点を訴えるため、2月8日に、緊急記者レク/記者会見を開催しました。資料を以下に公開しましたので、ぜひ広く共有し、この問題を多くの方、とりわけ本制度変更の影響を受ける方々へお伝えください。
日 時: 2024年2月8日(木) 16時~
開催方法: オンライン
報 告 者: 鈴木江理子(移住者と連帯する全国ネットワーク共同代表理事、国士舘大学教員)
鈴木 雅子(移住者と連帯する全国ネットワーク理事、弁護士)
丸山 由紀(移住者と連帯する全国ネットワーク運営委員、弁護士)
主 催: NPO法人移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)