「点の管理」から「線の管理」へと、外国人管理の強化を企図した2009年改定入管法・住基法の施行(2012年7月8日)から10年。情報技術の飛躍的発展を背景に、留学生に対する在籍管理、外国人雇用状況届出による雇用管理と合わせて、在留管理情報が「活用」され、外国人に対する管理監視の包囲網が着実に構築されている。
政府は、2018年改定入管法の施行(19年4月)に先立って、2018年12月、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(以下「総合的対応策」)を策定した。総合的対応策の施策タイトルの1つに「新たな在留管理体制の構築」があり、在留管理基盤の強化や「不法」滞在者等への対策強化などに係る施策が掲げられた。
「共生」(包摂)に向けた施策に「管理」(排除)が含まれること自体おかしいが、さらに2021年度改訂版(21年6月策定)では、「共生社会の基盤としての在留管理体制の構築」に施策タイトルが変更された。
果たして、なぜ「共生社会」の基盤が在留管理なのであろうか。そこで目指されている「共生社会」とはどのような社会なのであろうか。
本シンポジウムは、政府が推進する外国人管理に対する市民社会からの問題提起である。この10年間を振り返りつつ、管理監視強化の現状、追いつめられる外国人の状況、外国人住民に対する自治体の対応などから、「真の共生社会」を築くためには何が必要かを、参加者とともに考えたい。
開会あいさつ 佐藤信行さん(在日韓国人問題研究所/移住連理事)
< 報 告 >
◇旗手 明さん(自由人権協会理事/移住連運営委員)
「“点”の管理から“線”の管理、そして“面”の管理へ〜とどまることのない外国人管理の強化〜」
◇草加道常さん(RINK/移住連運営委員)
「仮放免者・非正規滞在者は生きることも許されないのか~一切の権利を奪われて」
◇山岸素子さん(移住連事務局長/日本カトリック難民移住移動者委員会)
「移民女性の地位の不安定さ~声をあげられないDV被害者~」
< 休 憩 >
◇鈴木江理子さん(国士館大学教員/移住連共同代表理事)
「管理監視強化と法的地位の不安定化~奪われる在留資格~」
◇國崎万智さん(ハフポスト日本版ニュースエディター)
「日本のレイシャル・プロファイリング〜人種差別的な職務質問の実態~」
◇山田貴夫さん(ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク)
「外国人住民に対する自治体の対応~住民の利便の増進より、在留管理への貢献へ~」
司会:丸山由紀さん(弁護士/移住連運営委員)