故郷における低賃金や失業、貧しさに直面する東南アジアの多くの女性たちが、相対的に高い賃金をめざしてシンガポールをはじめとする海外の国に家事労働者として働きに出ています。しかし、家事労働者の権利は十分に保障されておらず、数々の人権侵害が起きています。雇用主の家庭での長時間におよぶ酷使や賃金未払い。さらに、送出国と受入国の斡旋業者に支払う多額の斡旋手数料。また、就労先を替えたくても移動の自由はなく、厳格に適用される入国管理などの問題に直面しています。
彼女たちはまた、夫や恋人、子どもたちと長期間離れホームシックに悩まされています。そうしたなか、働く同胞が集まり、権利獲得をめざして立ち上がる取り組みも行われています。このセミナーでは、シンガポールで働くフィリピン人家事労働者を支援するマニラのSOHOというNGOスタッフのマリカ・ユヘニオさんを講師に迎えて、現状および取り組みの報告をしていただきます。
日本においては、大阪と神奈川の国家戦略特区においてまもなくフィリピンからの家事労働者(家事支援人材)の受け入れが試行的に開始されます。シンガポールの例から日本における受け入れの課題を考えたいと思います。
◆ 日時:2016年7月10日(日)午後2時~4時
◆ 場所:大阪大学中之島センター
大阪市北区中之島4-3-53 (最寄り:JR環状線福島駅、JR東西線新福島駅)
◆ 参加費無料・事前申込不要
◆ プログラム
・プロジェクトの概要説明 高谷幸(岡山大学教員)
・家事労働者の「国家戦略特区」への受け入れについて 藤本伸樹(ヒューライツ大阪)
・報告:家事労働者として働いた経験とNGOの取り組み マリカ・ユヘニオ(SOHOスタッフ)
シンガポールにおける家事労働者の現状と日本への受け入れの課題 上野加代子(徳島大学教員)
・質疑・意見交換
※マリカ・ユヘニオ(Maricar Eugenio)さんは、シンガポールで移住家事労働者を支援するNGO”HOME”と連携しているフィリピンのNGO”SOHO”の現地責任者として家事労働者の権利擁護のために活動している。シンガポールで家事労働者として働いた経験がある。
◆ 通訳者(日・英・タガログ):原めぐみ(大阪大学)・河野尚子(マリガヤハウス)
<主催> トヨタ財団国際助成「安全な移動と定住に関するプロジェクト」
<連絡先> 移住者と連帯する全国ネットワーク(03-3837-2316)
大阪大学 原めぐみ(akosimegu11あっとまーくgmail.com)