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2021.07.27 ブログ

【特別転載】新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の外国人に対する取り扱いについて

*新型コロナ感染拡大の状況への対応の一環として、移住連情報誌『Mネット』217号(2021年8月下旬発行予定)から先行で特別転載いたします。

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が各地で行われていますが、外国人も利用できますか?
 

 今回の新型コロナウイルスのワクチン接種は、予防接種法に基づいて実施されています。予防接種法には国籍条項はなく、外国人の方も接種の対象です。住民登録がある方は住んでいる市町村から接種券が送られてくることになっています。

 事前に接種場所や日時を申し込んで行うことになっていますので、接種を希望する場合は案内に従って申し込みをしてください。接種券や予診票は国が決めた様式になっており、16か国語での案内文が厚生労働省のホームページにアップされていますので参考にしてください。


住民登録のない外国人、非正規滞在の外国人もワクチンを接種できますか?

 今回の新型コロナのワクチンは、予防接種法附則第7条の特例規定に基づき実施するもので、同法第6条第1項(臨時接種)の予防接種とみなして実施されることになっており、その接種対象は厚生労働大臣が接種の指示を行う際に対象者を指定することになっています。今回は、接種対象は「(各)市町村(特別区を含む。)の区域内に居住する16 歳以上の者」とされています。また、厚労省のワクチン接種に関する自治体向けマニュアルではワクチンの接種対象者について「(新型コロナワクチンの接種対象者は)原則、居住地において接種を受けられることとし、接種を受ける日に、住民基本台帳に記録されている者を対象として行うものとする。(中略)また、新型コロナワクチンの接種日に、戸籍又は住民票に記載のない者その他の住民基本台帳に記録されていないやむを得ない事情あると市町村長が認める者についても、当該者の同意を得た上で、接種を実施することができる。」としています。

 さらに、厚生労働省は、在留資格のない人や入管施設に収容されている外国人に対するコロナワクチンの接種について以下の通知を出して、希望する場合は接種ができるとしています。

〇「入管法等の規定により本邦に在留することができる外国人以外の在留外国人に対する新型コロナウイルス感染症に係る予防接種について」(令和3年3月31 日 厚生労働省健康局健康課予防接種室 事務連絡)

https://www.mhlw.go.jp/content/000763148.pdf

〇「地方出入国在留管理官署の被収容者等に対する新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施について(周知)」(令和
3年4月16 日 厚生労働省健康局健康課予防接種室 事務連絡) 
https://www.mhlw.go.jp/content/000770140.pdf

 また、住居がないホームレス状態の方でどこにも住民登録が見つからない場合でも接種対象としています。

〇「ホームレス等への新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の周知等について」(令和3年4月30日 厚生労働省健康局健康課予防接種室、厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室事務連絡) 
https://www.mhlw.go.jp/content/000775868.pdf

 

ですから在留資格がない外国人もワクチン接種の対象とされているということになります。このことは、厚生労働省の担当課にも確認済みで、実態として居住していれば在留資格の有無や種類に関わらず対象です。ワクチン接種の案内が来ていなくとも接種はできますので、接種を希望する場合は、自治体のワクチン接種担当課などに問い合わせてください。



非正規滞在の外国人が接種の申し込みをしたら入管に通報されませんか?

 

 厚生労働省は、入管法による通報義務に関する以下の通知(事務連絡)を全国の自治体に出しています。

〇令和3年6月28 日付、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部事務連絡「新型コロナウイルス感染症対策を行うに当たっての出入国管理及び難民認定法第 62 条第2項に基づく通報義務の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000798935.pdf

 この通知では、「新型コロナウイルス感染症対策においては、感染拡大防止等の目的達成のため、退去強制事由に該当する外国人であっても、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の規定に基づき、適切に実施することが必要であり、入管法に基づく通報義務を履行した場合に当該目的を達成できないおそれがあるような例外的な場合には、当該行政機関において、通報義務により守られるべき利益と各官署の職務の遂行という公益を比較衡量して、通報するかどうかを個別に判断した結果、通報しないことも可能である。 」としています。この内容はこれまでDV被害者の相談支援や労働相談に対して既に通知で示されている通報義務に関する国の公式見解で、これを再確認したものとなっています。
 ここでは非正規滞在外国人が新型コロナウイルスに感染した場合の感染症法での対応が述べられていますが、「新型コロナウイルス感染症対策を行うに当たって」とある通り、ワクチン接種も当然該当します。感染症法による新型コロナウイルスのPCR検査、感染した場合の入院治療、予防接種法によるワクチン接種などは、すべて国籍や在留資格の有無・種類に関わらず利用できることになっており、費用負担もありません。

 これらの制度を非正規滞在の外国人が利用した場合に入管に通報するということになれば感染拡大防止という目的達成に反することは明らかで、行政機関の担当者にこの通知の趣旨を十分理解してもらうことが必要です。



ワクチン接種による健康被害が心配です。もし健康被害があったら補償はあるのですか?

 

 予防接種法では、予防接種を受けたことにより健康被害があった場合にそれを補償することになっています。

支給の種類は「医療費」「医療手当」「障害児養育年金」「障害年金」「死亡一時金」「葬祭料」「遺族年金」「遺族一時金」があり、予防接種により健康被害を受けたり障害の状態になったり死亡した場合は、自治体に申請して厚労省が健康被害が接種によるものと認めた場合に支給されることになっています。もちろん、国籍や在留資格の有無に関係なく対象となります。








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