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政策提言プロジェクトキックオフ集会(5月13日開催) 報告

  「スペシャルトーク 星野智幸×三木幸美 コトバから考える『ダイバーシティ・ニッポン』」を開催して -「誰にむけて何を発信するのか、そして誰とつくるのか」という問いからの(再)スタート         

移住連 高谷幸

 2017年5月13日、明治大学にて「スペシャルトーク 星野智幸×三木幸美 コトバから考える『ダイバーシティ・ニッポン』」を開催した。これは、今年度から移住連が始める「政策提言プロジェクト」のキックオフ集会として企画されたものであり、当日は100名程度の参加があった。

 移住連では、これまで数回にわたって政策提言を公表してきた。最後に公表した2009年からおよそ7年が経過し、移住者をめぐる状況が大きく変化していること、労働力不足や2020年の東京五輪準備にむけて移住労働者の受け入れ論議が再び活発化していることを踏まえ、改めてプロジェクトを立ち上げることになった。

 とはいえ、新しい提言が、既存のものの単なるアップデートではそれほど意味をもたない。私自身、これまでも提言の作成にかかわってきたが、そこにはいくつかの問題があると考えていた。まず、これまでの提言は、国会議員や政党など議会政治のアクターにむけたNGOからの提案という側面が強かった。しかし議会だけをターゲットにしていてもなかなか効果はあがらない。むしろヘイトスピーチがそうだったように、議会を動かすためには、世論のなかで移住者にかかわるイシューへの関心を高める必要がある。またこれまでの提言は、支援現場の課題を汲み上げたものだったとはいえ、移住者や外国にルーツをもつ人びとの声を十分反映したものになっていたかは心もとない。実際、作成過程に、彼・彼女らが参加することはほとんどなかった。さらに、私自身は、「外国人材の活用」に代表されるような政策用語がどうしても移住者が生きるリアリティからずれたものになることも気になっていた。

 こうしたことを踏まえ、今回のプロジェクトの会合では、「誰にむけて何を発信するのか、そして誰とつくるのか」という問いを提起した。議論の末、当事者や市民が参加する場をつくるなど作成のプロセス自体を大事にし、そのプロセスを通じて市民社会での議論を喚起する提言を目指すことにした。そしてこの最初の集会として開催したのが、今回のスペシャルトークである。Joey Manalangさん作成のミュージックビデオ上映の後、二人のトークが始まった。

 三木幸美さんは、フィリピン人の母親をもつ「ハーフ」である。子ども時代の経験、差別、母親との関係、外国にルーツをもつ子どもたちとのダンスの話など自らの経験と実践のなかで感じてきたことを明確な言葉で、しかも笑いを交えつつ語られた。

 一方、星野智幸さんは、日本において移住者の姿を書いてきた稀有な作家である。星野さんは、均質性を前提とした日本社会の息苦しさ、一方で、90年代初頭は、代々木公園のイラン人の一大バザールができる様子などをみて、日本が多様性を肯定する社会になることに明るい見通しをもっていたという。しかし現実にはそうならなかったこと、また純文学においても移住者が書かれることがほとんどなく、そこに社会の認識が表れているのではないかと指摘された。さらに、同じことばでもマイノリティが自ら名乗る場合とマジョリティが外からカテゴライズする場合での意味の違いなどについても語られた。

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 その後、ダンスや小説などの表現をめぐる話から、多様な社会をイメージし、どのように表現、発信していくかについてフロアも交えてディスカッションをした。

 今回の集会は、お二人のトークをとおして、これまでとは異なる角度から移住者や、彼・彼女らが暮らすこの社会について考える機会になったように思う。また参加者からの感想も熱のこもったものが多く、その場に立ち上がった雰囲気に希望を感じられる会でもあった。

 集会の最後では、「政策提言プロジェクト」の一環として、「移住者の権利キャンペーン2020 ここにいる Koko ni iru.」を立ち上げることを発表した。キャンペーンでは、各地でミーティングなどを開催したり、HPやSNSで発信を行っていきたい。一緒につくっていく活動ですので、ぜひ参加してください。

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