お知らせ

「在留期間「5年」を決定する際の考え方」に対する意見(パブリックコメント)

私たち移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、日本で暮らし、働いている移住労働者の権利を守り、自立への活動を支え、多民族・多文化共生社会をつくることを目指している当事者、支援者、専門家、NGO、労働組合、キリスト教団体などによるネットワークです。

私たちは、今回の突然の法務省側の「在留期間「5年」を決定する際の考え方」(「考え方」)の発表に驚きを感じ、さらにその内容が今後の、とりわけ入管法上別表2の資格を有している定住外国人の生活に計り知れない影響を及ぼすことを踏まえ、懸念を有しております。

よって、次の通り意見を表明します。

1 在留期間5年を許可される人が極めて限定的になる

今回の改定法では、「5年の在留期間」の創設および「みなし再入国許可制度」の導入が、当事者の利便性の向上として、法務省は広報してきましたが、今回の考え方をみると、果たして定住外国人、とりわけ日系外国人のうち、在留期間5年が許可される人は相当程度に限定され、今回の改定法の利便性の向上という立法趣旨の根本を揺るがしかねないものであると考えます。

2 透明性の高い在留資格制度の確立こそなされるべき

これまでも例えば、在留資格1年、3年などの期間の決定がどのような基準でなされているのか、非常に不透明でありました。今回、5年の在留期間については、考え方が示されましたが、それ以前に他の在留期間の決定に際する考え方も同時に公表されるべきです。

さらに、在留期間のみならず、例えば、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」などの資格で日本人や永住者、日系人等々の結婚を理由として在留している人の離婚後の在留資格の更新、変更の基準等も明らかにされておらず、この事のみならず、あまりにも「ケースバイケース」という不透明な現状の在留資格制度の改善こそなされるべきです。

いずれにしても、こうした在留資格制度全体の透明性の向上などに取組まず、こうした定住外国人の日常生活に重大な影響を与える基準を突如策定することは大いに問題です。

3 納税の義務の履行について

「主たる生計維持者が所得税及び住民税を納付しているもの」という納税の義務の要件について、例えば、日本人男性と国際結婚をしている外国人女性の場合、日本人男性である配偶者が主たる生計維持者である場合が多く、その日本人男性が納税の義務を果たしていない場合、外国人女性の5年の在留期間が認められなくなります。外国人女性に対するドメスティックバイオレンスの一形態として、日本人男性は、在留資格制度を利用することが多く、改定法の在留資格の取消制度と相まって、さらに外国人女性に対するドメスティックバイオレンスが深刻化する恐れがあります。

私たちは、こうしたドメスティックバイオレンスを根絶し、防止する観点から配偶者から独立した在留資格の創設を求めてきましたが、この要件は、外国人女性をさらに日本人男性の支配従属化におく、私達の求めているものと真っ向から反対するものであると考えます。

さらに非課税世帯については、5年の資格を認めない方針となっていますが、非課税世帯であっても独立生計に問題ない場合も多く、そうした世帯を排除することに合理的な理由はありません。

4 小学校・中学校への通学について

ここでいう、「学校」の定義があいまいであり、外国人学校等が排除されてしまう恐れがあります。さらに「在籍」でなく「通学」が要件とされていることが問題です。

現実には、親の都合ではなく、公立学校での日本語のできない子どもの受け入れ態勢が整っていないために、親や子どもが希望しても受け入れが拒否される場合もあります。さらにいじめなどが原因で不登校となってしまう場合もあります。こうした本人の責によらない場合でも本人に不利益を被らせる基準は問題です。

まずは、学校での受け入れ態勢のしっかりとした整備、それに向けた制度づくり等がなされた上で、検討すべきことであり、それらなくして規制だけ強化することは大いに問題です。

5 日本語能力の要件について

これまでも日本語能力を在留資格の要件とすることについて度々議論されてきましたが、その導入は困難であるとされ、見送られてきました。

今回提示された要件として、①法務大臣が告示で定める日本語教育機関において6月以上の日本語教育を受けたもの、②日本語能力検定N2に合格したもの、③BJT ビジネス日本語能力テストJLRT 聴読解テスト(筆記テスト)の400点以上を取得しているもの、のいずれかとされています。

日々、製造業の向上等で過酷な労働に従事している主に日系定住外国人のうち、誰がこうした要件をクリアすることができるのでしょうか。

日本語学習の制度的な保証や基盤の整備がまずなされるべきであり、そうしたことがなされないにもかかわらず、日本語能力を要件と科すことは大いに問題です。

また、今後、なし崩し的に3年や1年の在留期間の許可にあたっても日本語能力が要件とされることに懸念があります。

6 永住許可の基準との整合性について

永住許可については、「永住許可に関するガイドライン」が公表されており、そのガイドラインに基づき、判断がなされてきました。

そのうち、「最長の在留期間を有して在留していること」がひとつの要件となっており、今回の5年の在留期間の創設に当たり、現行の永住許可基準が大いに後退してしまいます。とりわけ、日本語能力を要件とされている「定住者」の資格を持つ日系外国人等は、5年の資格をえられず、さらには、「永住者」の資格も誰も得られなくなってしまいます。

また、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子である場合は独立生計要件が除外されていますが、非課税世帯は、5年の在留期間の許可要件から排除されており、事実上、「永住者」の資格も得られなくなってしまいます。

以上の理由から、今回の考え方が施行された場合、5年の在留期間が許可される人や永住者の資格が許可される人が相当程度に限定され、定住外国人の日常生活に重大な影響を及ぼすため、私達はこの「考え方」に反対を表明します。

2012年6月14日

移住労働者と連帯する全国ネットワーク

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