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2020.06.02 声明・意見

送還された移住労働者のための緊急司法メカニズム構築の要請

移住連もメンバーの一員として参加するマイグラント・フォーラム・イン・エイジア(MFA)が、他の市民団体や国際労働組合と連携して、この新型コロナウイルスの世界的感染拡大の状況下における移住労働者の問題に対しての国際アピールを発表しました。

Check the English version from the link below.
https://migrants.jp/news/voice/20200602.html



送還された移住労働者のための緊急司法メカニズム構築の要請

 

COVID-19 パンデミック(新型コロナウイルスの世界的大流行)は、移住先の国において何百万人もの移住労働者に深刻な影響を与えており、その多くは、職を失ったり、賃金未払いに直面したり、雇用主から無給で休暇をとらされたり、減給を余儀なくされたり、劣悪な生活環境に置かれたり、仕事の選択肢においては、自分たちではほとんど、あるいは全く関与できないでいる。また、多くの移住労働者は、そのような状況のなかで、帰国する権利を行使するかどうかのジレンマに悩まされたり、サービスや支援にアクセスすることができない都市や国境地帯で足止めされたまま、検疫施設を装った危険な状況下で生活している人たちもいる。

 

受入国や送出国は、本国送還は避けられないものであるとして、労働者たちの窮地を考慮することなく送還手続きに着手している。何百万人もの移住労働者が、手ぶらで帰国するにもかかわらず、職業の募集・斡旋手数料や費用の支払いは強いられるため、借金地獄に放り込まれることになる。

 

以上のような状況から、適切な規制・管理がなければ、雇用主が集団送還プログラムを悪用し、相応の補償、賃金、諸手当などを受け取っていない労働者を解雇し帰国させる可能性があるため、本国送還は多くの課題を含んでいる。送還される移住労働者の人権と労働者の権利を保護し、実現するためのデュー・ディリジェンス(相応の注意義務)を会社や雇用主側が実行することを保証しなければ、移住回廊に関わる国々は、何百万人もの労働者が賃金を受け取れず、職場における問題が顧みられないまま、また困難な状況に対して正義が見いだされないまま帰国させられるという手続き行為に加担することになる。

 

こうしたことは、移住労働者の労働権と、その労働に対して適切な賃金/収入で補償される権利に対する重大な侵害である。たとえ国や銀行が企業の再建とニューノーマル(新常態)への適応のための支援をしたとしても、労働者は賃金窃盗によって何百万ドルもの損害を被るばかりで、企業や雇用主は労働者に対するいかなる責任からも免除され、利益を得るのである。

 

ロックダウンの期間は、裁判所や労使紛争解決のための機関が閉鎖されているため、本国への送還手続きは、適切な救済メカニズムがないまま、送出国と受入国の双方で拙速に行われている。これにより、これらの違反は積み重なり、対処されない、あるいは既存の紛争解決メカニズムに加重負担をかけることになるだろう。

 

そうしたことから、マイグラント・フォーラム・イン・エイジア(MFA)、国境を越えた弁護士ネットワーク(LBB)、移民・難民のための地域横断センター(CCRM)、南アジア労働組合評議会(SARTUC)、連帯センター(SC)は、送出国と受入国に対して、以下の通り機能する緊急司法メカニズムを早急に設置するよう要請する。

 

1,    緊急司法メカニズムは、パンデミックの結果、仕事を失い帰国した労働者の苦情、請求、労働事案に対処する。このメカニズムは、迅速で、安価で、アクセスしやすく、効率的であること。

 

2,    司法メカニズムは、正当な請求を有するすべての帰還労働者が、司法および何らかの補償にアクセスできるよう保証することを優先すべきである。

 

3,    緊急司法メカニズムは、特に労働事案に関わるケースでは、可能な限り迅速に遅滞なく事件が解決されるようにすることが最も重要であるが、労働者が帰国後も事件を追及できるような保障手段を講じなければならない。法律相談と支援へのアクセス、委任状手続きの円滑化、直接の証言や法廷への出頭、法廷・苦情処理機関への出頭の要件緩和が最も重要である。

 

4,    国は、雇用主や企業に対して、賃金台帳、従業員名簿、労働時間をはじめとするすべての雇用記録を保持するとともに、労働者がそのコピーを持つことができるよう義務付けるべきである。


 

私たちがこの混乱から「よりよく立ち直る」ことをめざすならば、長年にわたり移住回廊で執拗に続いてきた賃金窃盗の問題から目をそむけ続けることはできない。もし無視し続けるのであれば、COVID 19 パンデミックにおいて送還された移住労働者のケースは前例のない規模になるだろう。

 

多くの移住労働者は、COVID 19パンデミック以前から幾年月にもわたり、不当な賃金あるいは未払い賃金という形での賃金窃盗の状況に甘んじてきた。彼らはそれを運命として受け入れ、仕事を失うことを恐れて文句を言うことを控えてきた。さらに最悪の場合、自分たちの法的地位が非正規にされてしまうことを恐れながら生活してきたのである。

 

毎年、賃金窃盗によって、送金されるはずの数百万ドルが失われている。そうしたなか、送出国は移住労働者の送り出しのための新規市場を開拓し続ける一方で、受入国は安価で搾取可能な移住労働を利用して繁栄しているのである。

 

COVID19 パンデミックの際、各国が相当な注意(デュー・ディリジェンス)を払わずに移住労働者を送還することは、移住労働者が被る不正を放置し、雇用主および移住労働者に対する暴力の加害者を免罪し、 正当な請求や苦情の記録をすべて消し去ることになるだけである。

 

本国に送還された、またこれから送還される数百万人の労働者は、家族の発展の行く末に影響を与えるだろう。各家族は、次世代により良い未来をつなぐ希望の源として、一人の移住労働者に依拠しているからだ。この夢、移住者の旅の強靭性を、COVID19パンデミックの進行によって窒息させてはならない。

 

もしいま対処しなければ、移住労働者の生活の物語が、今後何年にもわたってこの大規模な不正の証人となり、移住者と開発を結びつけるパターンを永遠に断ち切ってしまうだろう。



問い合わせ先:

 

William Gois

マイグラント・フォーラム・イン・エイジア 

Migrant Forum in Asia (MFA)

- 地域コーディネーター

mfa@mfasia.org

+63 9209600916

 

Roula Hamati

移民・難民のための地域横断センター

Cross Regional Center for Refugees and Migrants (CCRM)

- 地域コーディネーター

rhamati@insanlb.org

+974 50590778

 

Alonzo Suzon

連帯センター

Solidarity Center (SC)

- 地域プログラムコーディネーター

asuson@solidaritycenter.org

+94 777870985

 

Laxman Basnet

南アジア労働組合評議会

South Asian Regional Trade Union Council (SARTUC)

- 事務局長

sartuc.kathmanduoffice@gmail.com

+9779851021878

 

Henry Rojas

国境を越えた弁護士ネットワーク

Lawyer Beyond Border (LBB)

- コーディネーター

henryrojas888@yahoo.com

+63 9178224710

 

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