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【意見】「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』改定案の骨子」に対する意見

移住連は、2018年10月12日の「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」において提出された「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』の一部を改正する法律案」の骨子に関し、以下のとおり意見を表明します。

<PDF>
20181025入管法等改定骨子に対する意見書

<政府資料ー10月12日 外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議>

出入国管理及び難民認定法 及び 法務省設置法 の一部を改正する法律案の骨子について

新たな外国人材の受入れに関する在留資格「特定技能」の創設について

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「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』改定案の骨子」に対する意見 -今こそ、包括的な移民政策を!-

 

   2018年10月25日

 

2018年10月12日、外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議で、来年4月からはじめられるとされる「『出入国管理及び難民認定法』及び『法務省設置法』の一部を改正する法律案」の骨子(以下「骨子」)が公表された。そこで示された案に対して、移住者の権利と尊厳の保障を求める立場から、以下意見を明らかにする。

 

1. 新たな「外国人材」の受入れについて

(1) 「外国人材」ではない!

「成長戦略」を掲げる第二次安倍内閣の発足以降、「外国人材」という表現が政府内で用いられている。このことは、労働力を「商品」として捉え、その有用性のみを「活用」しようとする、現政権の姿勢を端的に表している。労働者・生活者としての権利を保障し、同じ社会で共に生きる「人間」として迎え入れるという大前提のもと、「外国人材」という用語の使用はやめるべきである。

(2) 外国人労働者に家族帯同の権利の付与を!

骨子では、「深刻な労働力不足」に対応し、日本社会の「経済・社会基盤の持続可能性」に寄与するために、外国人労働者――すなわち「相当程度の知識又は経験を要する技能を要する業務に従事する外国人」(在留資格「特定技能1号」)と「熟練した技能を要する業務に従事する外国人」(在留資格「特定技能2号」)――を新たに受け入れることが示されたが、前者の外国人労働者に対しては、家族の帯同が認められていない。最長5年間、家族が離れ離れになる可能性があることは人道的に極めて問題であり、見直しを強く求める。

(3) 技能実習制度の廃止を!

骨子では、技能実習制度において技能実習2号を修了した者が、新たな在留資格として設けられる、「特定技能1号」へ移行することが可能とされている。技能実習制度は、途上国への技能等を移転することを本来の目的としながら、実際には人手不足対策に利用され、さまざまな人権侵害を引き起こしてきた。「技能実習」から「特定技能」への移行は、現状追認であり、技能実習制度が「労働力補充システム」であることを認めたことを意味する。技能実習制度は、ただちに廃止されるべきである。

(4) 雇用の調整弁として外国人労働者を利用すべきではない!

新たに受け入れる外国人労働者の雇用形態について、骨子では原則として直接雇用としながらも、分野の特性に応じて派遣形態も可能となっている。外国人雇用状況の届出(2017年10月)によれば、外国人労働者の21.4%が間接雇用であり、日本全体の3%程度と比較して間接雇用比率が高くなっており、そのことが、外国人労働者の就労の不安定さの原因にもなっている。したがって、新制度における受入れは、直接雇用に限るべきである。

さらに、骨子では、人手不足の状況の変化等に応じて「分野別運用方針の見直し又は受入れ停止・中止の措置を講じる」ことが示されている。これは、新たに受け入れる外国人労働者を雇用の調整弁として利用することを容認するものであるので、見直しを強く求める。

(5) 外国人労働者への「支援」は国や地方自治体が行うべき!

受入れ機関や登録支援機関に、新たに受け入れる外国人労働者に対する一次的な「支援」を担わせるべきではない。受入れ機関と登録支援機関の役割は、技能実習制度における企業単独型の実習実施者、及び団体監理型の監理団体のものに類似している。技能実習制度において見られたような「支援」の名を借りたブローカーの介在を許してはならない。そのためにも、「支援」は「支援」として国と地方自治体が行うべきである。

新たに受け入れる外国人労働者に対する「生活のための日本語習得の支援」についても、受入れ機関や登録支援機関にまかせるのではなく、国や自治体など公的機関が責任をもって行うべきであり、そのためには必要な予算措置を講じるべきである。

(6) 悪質な紹介業者の介在を排除するしくみの構築を!

骨子では、「保証金等の徴収がないことを受入れの基準とする等の防止策を講ずる」とあるが、技能実習制度の経験が示唆するように、民間の送出し機関に頼っていては、悪質な紹介業者を実質的に排除することは不可能である。したがって、新たな外国人労働者の権利を保障するためには、技能実習生や留学生の送出しと切り離し、公的な送出し機関と国レベルで契約することが求められる。

 

2. 法務省は司令塔的役割を果たすべきではない!

2018年6月15日に閣議決定された「骨太の方針」には、「外国人の受入れ環境の整備は法務省が総合的調整機能を持つ司令塔的役割を果たす」とあるが、骨子で示された法務省設置法の改定案では、法務省の任務は「出入国及び在留の公正な管理」とされている。そして、当該任務を担うことを目的として、法務省の外局として「出入国在留管理庁」が設置されることで、管理強化が進行することが懸念される。

外国人労働者の新たな受入れにあたっては、「管理」よりも「支援」や「共生」が優先されるべきであることから、「総合的調整機能を持つ司令塔的役割」は、既存の省庁においては「内閣府」が担うべきである。内閣府において対応が難しい場合は、専門的省庁が別途設置されるべきである。

 

外国人労働者とその家族は、すでにこの社会において、事業の担い手、産業の担い手、地域の担い手として活躍している。この事実を直視した移民政策こそが求められている。

外国人労働者の「受入れ」とは、「人間」の「受入れ」である。移住者とその家族をはじめ日本社会に生きるすべての人々が対等な立場で社会に参加し、主体的に議論することで、まっとうな移民政策を確立していかなければならない。そのためには、出入国管理及び難民認定法だけでは不十分であることは、少なくともこの30年間に引き起こされた外国人労働者とその家族の人権問題、労働問題等の事実から明らかである。これらを教訓とし、よりよい多民族・多文化共生社会に向けた、包括的な「移民基本法」と実質的な差別解消を担保する「差別禁止法」を制定することをあらためて提言する。

 

NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)

 

 

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