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【パブコメ】入管法及び法務省設置法改定に伴う関係政令案にかんして意見を提出しました

移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等に関する意見募集(パブリックコメント)」にあたり、2019年1月24日付で以下のパブリックコメントを提出いたしました。

●意見募集(パブコメ)概要

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等に係る意見公募手続の実施について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300130143


2019年1月24日

 

出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令案概要等に係る意見公募手続の実施についてのパブコメ意見

  

特定非営利活動法人 移住者と連帯する全国ネットワーク(移住連)
代表理事 鳥井一平
〒110-0005 東京都台東区上野1-12-6  3階
TEL:03-3837-2316  FAX:03-3837-2317

 

 昨年(2018年)の臨時国会において、在留資格「特定技能」を創設するため出入国管理及び難民認定法(以下、入管法という)が改定され、政府は正面から外国人労働者を受け入れるとしています。しかし、臨時国会での議論は、審議が短時間であったこと、また「特定技能」の制度設計の詳細が明らかにされなかったこともあり、まったく不十分なものでした。
 他方、当初は特定技能が一定の定住化に門戸を開くものとして歓迎する意見もありましたが、あくまで「移民政策ではない」という建前に合わせるように、定住化に結びつく「特定技能2号」は極めて限定されたものとしかならず、結果的に従来の「短期ローテーション」型から「中長期ローテーション」型に変更されたにとどまりました。そのため、外国人労働者を単に「労働力」として利用しようとする基本姿勢に変わりはないものと言わざるを得ません。
 その結果、外国人労働者の生活や権利に対する保障は弱く、すでに268万人を超える外国人が暮らす日本社会の現状にそった政策ともなっていません。
 こうした基本認識を踏まえながら、以下、いくつかの基本的論点に従い法務省令案等に対する意見を述べますので、真摯に受け止め、再検討されるよう要請します。

1.悪質な仲介事業者等を排除することはできるか?

 この点、政府基本方針では、「国内における悪質な仲介事業者(ブローカー)等の排除を徹底する」「悪質な仲介事業者等の介在を防止するため、二国間取決めなどの政府間文書の作成等、必要な方策を講じる」としており、それを受けて「上陸基準省令案概要」及び「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」では、送出し機関・受入れ機関・職業紹介機関、その他関係機関を問わず、保証金徴収・違約金契約等がないことを要求しています(「上陸基準省令案概要」第2・1(2)、同第2・2(2)、「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」第2・2(1)エ(ケ)g及びh、同第2・2(1)カ及びキ)。また、「上陸基準省令案概要」第2・1(3)では、「取次ぎ又は……準備に関して外国の機関に費用を支払っている場合は、その額及び内訳を十分に理解して、……合意していること」ともしています。
 しかし、これらはすでに技能実習法において講じられている措置と変わりはなく、技能実習制度の実態としては、こうした措置にもかかわらず、技能実習生が来日する前に支払う手数料や事前研修費用などの金額は、相変わらず高額にとどまっています。このため、技能実習生は債務奴隷とも言うべき状況におかれており、さまざまな人権侵害が絶えない大きな要因となっています。そして、技能実習制度における送出し機関や受入れ機関などが、特定技能でも大きな役割を果たすであろうことは容易に想定されます。
  こうした事態に対する有効な解決方法の一つは、国際的な労働移動のプロセスから民間事業者を排除することです。現に韓国の雇用許可制度では、二国間取決めを結んだ国からしか受入れず、募集・採用等を政府間でのみ行うこととして、一定の成果をあげています。こうしたことを参考にして、外国人労働者の人権を保障するため、受入れプロセスから民間事業者を排除し、政府組織間で取り扱うこととすべきであると考えます。

2.日本人との同等報酬の確保は可能か?

 改定入管法第2条の5第2項において報酬の決定等での差別的取扱いを禁止したことを受けて、「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」の第2・1(1)ウでは「外国人に対する報酬の額が日本人が従事する場合の報酬の額と同等以上であること」を要求するとともに、第2・2(1)シでは、「預金又は貯金への振込み又は当該外国人に現実に支払われた額を確認することができる方法によって支払われること」とされています。また、入管法「施行規則案概要」第2・2(2)アでは、「特定技能外国人及び特定技能外国人と同一業務に従事する日本人に対する報酬の支払状況」を定期的に届け出ることとされました。
 しかし、技能実習法においても日本人と同等以上報酬が要件とされていますが、実際には各地の最低賃金レベルに張り付いています。つまり、「同等以上の報酬」という抽象的な定めだけでは、低賃金労働を規制することは難しいと言えます。特定技能を低賃金労働としないためには、客観的かつ具体的な数値基準を定めることが必要不可欠です。「同等以上の報酬」について、さらなる具体化を検討すべきであると考えます。

3.転職の自由は実質的に保障されるか?

 特定技能外国人の転職の自由について、政府基本方針では、「同一業務区分内」及び「技能水準の共通性が確認されている業務区分間」という、かなり限定された範囲での転職を認めています。この点は、原則として転職の自由が認められない技能実習生よりは、使用者に対する従属度がやや軽減されることとなり、人権保障の観点から望ましいと言えるでしょう。また、同基本方針では、「ハローワークにおいて当該外国人の希望条件、技能水準、日本語能力等を十分に把握した上で、適切に職業相談・職業紹介を行う」ともしています。
  さらに、改定入管法第2条の5第7項を受けて「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」の第2・3(1)ア(ク)では、支援計画の内容が満たすべき基準として「当該外国人が、その責めに帰すべき事由によらないで特定技能雇用契約を解除される場合」の支援をうたっています。
  しかし、法務省は、特定技能外国人の転職に対する実際の対応として、日本人や他の外国人労働者と同様に、一般的な求職者としての対応を想定しているようです。特定技能外国人の転職の自由を形骸化させないためには、非自発的な離職への支援ばかりでなく、自発的な離職も現実的に可能でなければなりません。そのためには、公共職業安定機関が特定技能に特化した求人情報の収集及び多言語による情報提供などを実施するとともに、平日昼間にハローワークなどに出向くことが困難なことに配慮してインターネットによるアクセスを可能にするなど、特定技能外国人に対する職業紹介機能を強化すべきであると考えます。

4.技能実習制度との整合性はあるか? 

 「上陸基準省令案概要」第2・1(1)では、「技能実習2号を良好に修了している者」は、特定技能1号に必要とされる技能水準及び日本語能力に関する試験を免除するとしています。
 しかし、技能実習制度においては、介護分野を除いて日本語要件は課されておらず、技能についても技能実習2号への移行時に「基礎級」の試験は合格しているものの、技能実習2号修了時に特定技能1号が要求する水準に達しているかどうかは確認されていません。「上陸基準省令案概要」が、どのような客観的な根拠をもって試験を免除することとしたのか、明らかにすべきです。また、「良好に修了」としていることは、そこに裁量が働く余地が生まれ、悪くすると恣意的な運用を招きかねず、単に「技能実習2号を修了している者」とすべきです。
 さらに、法務省は、技能実習2号修了者に一定の期間帰国することなく、継続して特定技能1号として働くことを認めるとしています。これでは、8年〜10年という長期にわたり母国に帰らないことにもなり、技能実習制度における技能移転という目的に明らかに反することになります。このままでは、特定技能制度と技能実習制度との関係において、まったく整合性がとれていないことを指摘せざるを得ません。

5.日本語学習機会の提供はどうなるか? 

 「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」の第2・3(1)ア(オ)では支援計画の内容が満たすべき基準として「本邦での生活に必要な日本語を学習する機会を提供すること」がうたわれています。しかし、具体的にどのようなことが想定されているのか、まったく不明です。他方、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」では、「日本語教育の充実」も実施することとなっており、それとの関係性も明らかにすべきものと考えます。
 日本語能力は、労働の場において必要であるばかりでなく、日本における日常生活を送る上でも欠かせません。また、人権の観点からは、何らかの権利侵害にあった場合、救済システムに容易にアクセスして権利回復を図るためにも重要です。従って、特定技能外国人の受入れにあたっても、来日の前後にわたり日本語能力獲得の機会をできるだけ保障すべきであり、国の責任において日本語教育体制を抜本的に改善し整備する必要があります。
 また、重要なのは、日本語能力を獲得するために必要な費用負担を、できるだけ特定技能外国人に負わせないことです。新たな特定技能外国人の受入れは国家的なプロジェクトであり、特定技能外国人が日本語能力を獲得することによって、受入れ企業や日本社会も利益を受けることになります。したがって、日本政府や受入れ企業、また場合によっては送出し国政府を含めた費用負担を考えるべきです。

6.特定技能では、技能実習の監理団体の関与はどうなるか?

 政府基本方針における「外国人に対する入国前の生活ガイダンス」を行うとの定めを受けて、「契約、受入れ機関、支援計画等の基準省令案概要」の第2・3(1)ア(ア)では、「当該外国人が本邦に入国する前に……在留するに当たって留意すべき事項に関する情報の提供をすること」としています。また、入管法「施行規則案概要」第2・9においては、「在留資格認定証明書の交付申請の代理人」として特定技能外国人の受入れ機関の職員のほか、「登録支援機関の職員」も代理人となることができるとされています。
 しかし、一般的に中小企業事業者が、こうした「入国前の生活ガイダンス」を行うことは極めて困難であり、結果的に登録支援機関に委託することが多くなると思われます。そして、こうした対応が可能な登録支援機関は、技能実習で実績のある監理団体等が担うことになることが想定されます。その結果、技能実習制度における様々な弊害が、特定技能においても生起することが懸念されます。
 したがって、「入国前の生活ガイダンス」は、政府自ら或いは公的な機関が行うこととすべきであると考えます。 

7.強制帰国をなくすために

 技能実習制度では、技能実習生が労働条件や居住環境などについて権利を主張したり、不満を述べた場合に、その意に反して強制的に帰国させるということが起こっています。そして、こうした人権侵害行為を実行するのは、主として監理団体や送出し機関です。
 改定入管法、政府基本方針、分野別運用方針及び関連する政省令案では、こうした強制帰国に対する問題意識は感じられません。しかし、国際的な労働移動の構造からして、技能実習の送出し機関が特定技能の送出し機関になる可能性は高く、また、技能実習の監理団体が特定技能の登録支援機関となる可能性も高いというべきです。
 したがって、特定技能においても同様の問題が起こることが想定されるのであり、本格的な対策が求められます。少なくとも、技能実習制度において実施されているような、途中帰国時の「意思確認票」による出国時の対応は、特定技能においても実施されるべきものと考えます。今後は、さらに受入れ機関や送出し機関の関係者を排除した形で、出国時ではなく事前に出入国在留管理庁において本人の意思確認をする手続きを設置すべきです。

8.家族の帯同は基本的人権の1つです

 新たな受入れである「特定技能1号」では、家族の帯同が認められていないため、最長通算5年間、家族と離れて一人、日本で働かなければなりません。さらに、政府の推計によれば、技能実習2号修了者からの移行が相当数を占めることから、その場合、8年間も、家族が離れて生活することになり、家族の崩壊も懸念されます。
 家族の帯同は基本的人権の1つです(自由権規約第23条、社会権規約第10条、子どもの権利条約第10条参照)。
 「人間」らしく安心して働くためにも、家族の帯同を認めるべきです。

9.外国人労働者の人権保障のために

 日本社会では、雇用や居住など様々な場面において外国人や民族的マイノリティへの差別が依然として続いています。そのため、外国人労働者の受入れ拡大にあたっては、国際的な人権基準に見合った人権のインフラ整備も欠かせません。
 外国人や民族的マイノリティの人権を守るための基本法、及び人種差別撤廃法の制定、パリ原則に合致する国内人権機関の設置などは、日本が早急に実現すべき課題です。
 また、中長期的な外国人労働者政策を確立するとともに、各政策を包括的に把握・統括し必要な場合には政策を提言するため、外国人を含む日本社会の構成を反映したメンバーによる恒常的な組織の設置が求められます。

以上

<PDF版>
190124-入管法および法務省令案等へのパブコメ意見 

 

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