お知らせ

「建設分野における外国人材活用に係る緊急措置」に対する声明

私たち移住労働者と連帯する全国ネットワーク(移住連)は、この社会で暮らし、働く移住労働者とその家族の生活と権利を守り、自立への活動を支え、よりよい多民族・多文化共生社会を目指す個人、団体による全国ネットワークです。

東京オリンピック開催決定以降、建設労働者受入れの「緊急措置」論議が急浮上する情勢に鑑み、去る3月19日に、私たちは、「建設分野における外国人材活用に係る緊急措置への提言」を発表し、以下の三点を政府に求めました。

1)緊急措置に現行の技能実習制度は活用しないこと

2)日本人と同等に労働者としての権利を現場で確実に担保する対策を講じること

3)外国人労働者の同業種内での雇用先の移動を自由にし、在留資格もそれを可能にする設計とすること

しかし、4月4日に決定された「緊急措置」は、残念ながら私たちの提言が活かされたものではなく、強い危惧を抱く内容となっています。私たちは、ここにあらためて声明を発します。

本声明が政府をはじめ関係各位の今後の政策議論に活かされるよう強く求めます。

 

使ってはならない技能実習制度

政府は、現在の技能実習制度の継続、拡大を前提として「緊急措置」を決定しています。しかし、そもそも外国人労働者受入れと開発途上国への技術移転を目的とする技能実習制度は縁もゆかりもないはずです。完全に切り離して受入れの制度設計をすべきです。また、今回は建設分野に限る「緊急措置」としていますが、今後、他の分野にも拡大しようとの意図が見え隠れしています。

1993年の制度創設以降、技能実習制度では、労働基準の破壊と人権侵害が横行しています。その要因は制度設計そのものに問題の核心があり「一部の団体が技能実習の信認を損なう行為」(自由民主党)を行っているなどと事実に反して問題を矮小化すべきではありません。制度の「適正化」(法務省)を言っても、2009年の法改定後も、労働法違反や不正行為が続いている実態を見れば問題の解決にはならないことは既に明らかです。

「緊急措置」では、技能実習を上回る水準の「新たな特別の監理体制」を行うとしています。その理由は、「不法就労や人権問題などを懸念する声もあることから」(国交省)としています。しかし、これもまた全く事実に反し、的外れです。技能実習生の「不法残留」はごく僅かです。それどころか雇用先の不正行為や人権侵害に対しても「逃げる自由」さえない拘束状況にあることが奴隷労働との指摘、批判を受けています。

また、人権問題への懸念のため、「新たな特別の監理体制」を行うとしていますが、2010年7月の新制度施行後、幾重もの監理が制度上は行われることになりました。しかし、禁じられている「保証金」の徴収、強制貯金、携帯電話・パソコンなど通信手段の禁止、私生活上の制約、更には強制帰国、セクハラ、暴力事件等の人権侵害が、相変わらず支援団体・労働組合に報告されています。すなわち、「技能実習制度を上回る水準の監理」とは、すでに失敗した政策の繰り返しです。況や、「優良な」監理団体・受入れ企業を認定するなどとは愚策と言っても過言ではありません。あえて言及するならば、外国人技能実習制度において、「優良」とは労働法令遵守、人権尊重を自明とし、如何に開発途上国への技術移転を為したのかを基準とされるべきものです。百歩譲って不正行為の「あるやなしや」としても、総務省行政評価局の評価においても、監理団体による実習実施機関の監査はほとんど機能していないと指摘されています。またJITCO(国際研修協力機構)や入管の監理も不十分です。かえって、監理団体自身の不正やJITCO の怠慢が温存され続けます。

不正行為、人権侵害、労働法令違反が横行する技能実習制度に対しては、国内外(国連、米政府、日弁連、市民団体、総務省行政評価局など)から問題指摘が相次いでいます。制度そのものが人身売買、奴隷労働の温床との疑念は勧告としても表されています。そのような指摘を無視し、技能実習制度を継続し、拡大することを前提とした「緊急措置」は大きな誤りです。また、「スポーツを行うことは人権のひとつである」(オリンピック憲章)と謳う、フェアプレーに基づくオリンピック精神にも反すると言わざるを得ない政策です。

外国人労働者の使い捨ては許されない。労働者を労働者として

今回の緊急措置は、「特定活動」の在留資格を活用するなど、表面上は、あくまで時限的な措置であるとされています。しかし、同時進行で、自民党や政府において外国人材を「活用」する、という視点で議論が活発に行われています。実は、人口減少・労働力不足に対応するための「外国人材活用」については、2005〜2008年にも政府・経済団体などから相次ぎ提起されました。

その時も、そして今回も、外国人を人たる労働者として受け入れるという観点、人権の視点が欠落してます。未だこの社会は、日本の成長に資するために外国人を「活用」するという狭い視点から抜け出すことができず、外国人受入れの全体像を捉え損ねていると言えます。すでにこの社会には多くの外国人労働者そしてその家族が働き、暮しています。政府は、この事実から目をそらし、外国人の権利を保障する法制度の整備を怠っています。本来であれば、人を人として受け入れるために人権及び多民族・多文化共生社会を制度的に保障するための整備をすべきですが、日本には外国人人権基本法や人種差別撤廃法、国内人権機関などの法整備および所管庁の設立などの制度設計もされていません。

東京オリンピックが契機であるならば、国際規範に則し、人権と労働基準が担保された「フェアトレード」を、国内でこそ実現する受入れ制度が求められます。技能実習制度の「活用」ではなく、今こそ技能実習制度を廃止し、真正面から労働者を受け入れる政策とするべきです。使い捨ての労働力ではなく、ともに働き、ともに暮らす、この社会を支える一員を迎えるために。

2014年4月24日

移住労働者と連帯する全国ネットワーク

共同代表 岩本光弘 丹羽雅雄

村山 敏 山岸素子

由井 滋 渡辺英俊

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